ソフトバンクモバイルは5月29日、2012年夏モデルとなる新商品9機種を発表した。スマートフォン4機種、フィーチャーフォン3機種、モバイルWi-Fiルータ2機種のラインアップとなっており、すべてのスマートフォンとフィーチャーフォンが、“プラチナ電波”と呼ばれる900MHz帯サービスに対応する。
夏モデルの中でひときわ大きな注目を集めたのが、世界初の放射線測定機能を搭載したスマートフォン「PANTONE 5 107SH」(シャープ製)だ。専用のキーを押すだけで、簡単に身の回りの放射線量(ガンマ線)を測定できるほか、ウェルカムシート上で放射線量を常時確認することもできる。発売時期は7月中旬以降を予定している。
“放射線”というテーマゆえ、発表直後から物議を醸したPANTONE 5だが、開発にはどのような背景があったのか。機能の詳細なども含めて、シャープ開発陣に話を聞いた。
ソフトバンクモバイル代表取締役社長の孫正義氏は夏モデルの発表会で、東日本大震災以降、同氏のTwitterに放射線測定機能を搭載した端末を望む声が多数寄せられたと語っている。しかし、もし開発できなかった場合にユーザーを落胆させてしまうという理由から、「『やりましょう』と簡単に答えるわけにはいかなかった」と心境を明かしている。
この思いに応えたのがシャープだった。同社は、スマートフォンなどのモバイル機器に搭載できる業界最小サイズの放射線センサーモジュールを開発しており、「両方の思いが一致した」ことから、世界で初めて放射線を測定できるスマートフォンが誕生したと、シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 部長の林孝之氏は振り返る。
「放射線センサーを開発したといっても、それを(端末内の)限られた面積にどうやって載せるのか。そもそも携帯電話に放射線センサーを載せるべきなのかということについても、ソフトバンクとお話しさせていただき、最終的に搭載にいたった。携帯電話にはさまざまな機能が搭載され、生活を豊かにしたり便利にしてきたが、こういった社会背景もあり、安心・安全という切り口も携帯電話に必要ではないかと思い、放射線センサー付きのスマートフォンを企画させていただいた」(林氏)
PANTONE 5は、これまでフィーチャーフォンで展開されていた「PANTONE」ブランドとして発売される初のスマートフォン。片手でも操作できるコンパクトボディと、持ち手にフィットするラウンドフォルムデザインを採用している。また、ソフトバンクモバイルのCMでお馴染みの「白戸家」のイタリア・ローマバージョンのライブ壁紙や、カレンダー、ウィジェットなどをプリインストールしている。
PANTONEシリーズの特徴である豊富なカラーバリエーションも引き継いでおり、PANTONE 5でもローマンブラック、ローマンホワイト、ローマンパープル、ローマンブルー、ローマンピンク、ローマンビビッドピンク、ローマンイエロー、ローマンオレンジと、8色のカラーを用意した。
このようにカラフルでポップなイメージの強いPANTONEに、なぜあえて放射線測定機能を搭載したのか。シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 係長の河本幸生氏は、PANTONEのターゲットと放射線測定機能を求めるユーザー層が合致しているためと説明する。
「機能からすると真逆のターゲット層に見えるかもしれないが、ユーザーアンケートによれば、放射線を気にしているのは子供をお持ちのお母さんが最も多い。そういった方に使ってもらえるデザインという意味では、まったく真逆ではないと思っている」(河本氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」