放射線測定アプリでは、身の回りの放射線量を常に測ることができる「常時測定」と、特定の場所の放射線量を測れる「しっかり測定」の2種類から測定方法を選ぶことができる。同機能は、慶應義塾大学SFCのScanning the Earthプロジェクト(地球環境スキャンニングプロジェクト)の監修のもと開発されているという。
常時測定は、常時測定中データから過去5分の線量が表示される機能で、10秒ごとに値が更新される。自身で数値を設定して、高い線量を計測した場合に、音やバイブレーションなどで通知する機能も搭載している。測定した放射線量は、ウェルカムシート(ロック画面)で確認できるほか、累計の線量も確認することができる。
気になるのは、常時測定時に服や鞄にスマートフォンが入っていた場合の数値への影響だが「基本的に数値が変わることはないが、センサーの性質上、激しい振動などには弱い。そのためポケットに入れている際に、同じポケットに鍵などが入っているとわずかに影響するかもしれない」(河本氏)そうだ。
しっかり測定は、気になる場所の放射線量をより正確(誤差±20%)に測定できる機能。スマートフォン本体を地面から1メートル離して水平に構えた状態で、約2分間測定する。さらに精度を上げたい場合は最大40分まで測定を継続できるという。放射線量は、日付や住所、地図などで確認できる。
いずれも測定結果は、ゲージ(色は文部科学省のホームページに準拠)と数値によって表示される。また、「放射線に関してはテレビなどでいろいろな言葉が出ているが、実際に詳しい方は一握りだと思っている」(河本氏)ことから、特にガイド機能は誰でも理解できるよう、“分かりやすさ”にこだわっているという。
本体前面に搭載されているクイック起動キーを長押しすることで、ウェルカムシートでも、すぐにしっかり測定を起動できる。また、ウェルカムシート以外では、クイック起動キーを短く押すことで放射線測定アプリを起動できる。クイック起動キーは、カメラやメールなど、別のアプリに設定することも可能だ。
河本氏は放射線測定機能の搭載にあたり「ハード面では端末の中に切手大のモジュールを入れ込む作業にはかなり苦労した。またスマートフォンはいろいろな電波を出したり、液晶も結構なノイズ源だったりする。それらの影響を受けないようにするのも大変だった。ソフト面は、我々だけで決められることではないので、(監修した)慶應義塾大学の先生方に逐一相談した」と振り返る。
懸念されるのは、誰でも簡単に放射線量を測定できるようになることで、利用者によってはパニックを起こしてしまうのではないかということだが、「『しっかり測定』で正しい値を測れるようになっている。また、値だけが1人歩きしないように、測定データの共有機能は搭載していない」(林氏)ことから、大きな影響はないものと見ている。
林氏は、PANTONEを投入することで、フィーチャーフォンユーザーも「スマートフォンにスムーズに乗り換えていただける」と自信を見せる。また、放射線測定機能の対応機種の拡大については、PANTONE 5に対する市場の反応次第ということにはなるが、「このモデルを開発したことで、我々としてノウハウもかなり蓄積できた。今後も携帯電話を作っていく中で何ができるかを継続的に検討していきたい」(林氏)とした。
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