LinkedInは、世界1億5000万人が利用するビジネスプロフェッショナル向けのSNSである。その共同創業者 兼 会長であるReid Hoffman氏が、著書『スタートアップ! シリコンバレー流成功する自己表現の秘訣』の日本語版発売を記念して来日し、ファンイベント「LinkedIn 創業者兼会長 リード・ホフマン×楽天社長 三木谷浩史」を開催した。
“スタートアップ”がテーマのイベントではあるが、Hoffman氏は「スタートアップとは、企業を立ち上げることだけでなく、起業家精神を持ち、自己実現を可能にし、自身の人生やキャリアを舵取りすること」だと語っており、その中身はスタートアップを目指す起業家だけでなく、個人や会社にとっても適用できる極めて価値のあるものであった。
イベントの司会およびモデレータを務めたのは、フリーアナウンサーの住吉美紀さん。オープニングトークでは、住吉さんからHoffman氏に対して、同氏の活動や著書『スタートアップ!』などに関する質問が行われた。
シリコンバレーを拠点に活動するHoffman氏は多くの顔を持っている。多数のスタートアップに関わる起業家であり、投資家であり、企業のアドバイザーであり、そしてまた自身がコンシューマーインターネットビジネスに関わるというビジネスマンでもある。同氏のことを尊敬の念を込めて「シリコンバレーのヨーダ」と呼ぶ人もいるという。
著書『スタートアップ!』は、その幅広い活動の経験から生まれた。これについて話を振られたHoffman氏は、スタートアップのベースとなる起業家精神について次のように語った。
「大事なポイントは、世界がグローバルに変わっており、私たちは“人生は常に学習である”という姿勢で望まなければいけないということです。起業家精神にとって重要なことは、世界の変化に順応していくこと。私はこれを『永遠のベータ版』と表現しています。もうひとつの大事なポイントは、ネットワークを構築することです。ひとりでできることは限られています。ネットワークを作り、その中で個人としての立場を確立してください。起業家にとってときにはリスクを取ることも重要ですが、その場合は賢く取るようにしましょう」(Hoffman氏)
ネットワークの構築に対しては、LinkedInが果たす役割も大きい。Hoffman氏はLinketInを作成したきっかけを次のように説明している。
「2002年の秋頃に、Web 2.0という変革が来ることを感じました。オンラインに対して人々がアイデンティティを持って入ってくるという兆候が見て取れたのです。そのときに、ソーシャルの側からアプローチできることがあるのではないかというのが様々な投資につながりました。その後、ビジネスの面でも何かできるのではないかと考えました。どのようにすればビジネス上のタスクを達成できるか考え、それを実現することが生涯の仕事になると実感したわけです。そしてそのためのサービスとしてLinkedInを作りました」(Hoffman氏)
現在、LinkedInは1億5000万人のネットワーク構築に役立っているという。Hoffman氏自身もこれを積極的に活用しているそうで、例えばFlickrへの投資はLinkedInによるつながりがきっかけになったという話だ。日本人がLinkedInを使うメリットを問われると、Hoffman氏は次の3つのポイントを挙げた。
同氏は、最初の目標として「50のつながりを作ってほしい」と強調。ネットワークの構築は簡単ではないが、少なくとも50のつながりがあれば、そこをスタート地点として可能性が大きく広がることが多いという。Hoffman氏はさらに、企業が成功を収めるためには人脈を作ることが極めて重要だと続けている。
「本の中では“関係(人脈)を作ること”というテーマでまるまる1章を割いています。それが、人生の中でどのように周囲の人々とコラボレーションするのかに関わってくるからです。人脈の中で自分がどのような価値をもたらすことができるのかを考えてください。そうして多くの問題に対処するための連合軍を構築することが、成功につながる道なのです」(Hoffman氏)
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