米国のビジネス向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「LinkedIn」が、デジタルガレージのバックアップのもと年内に日本語版サイトをオープンする。デジタルガレージ取締役で、LinkedIn日本進出のアドバイザーを務める伊藤穰一氏に、LinkedInとはどんなサイトか、米国ではどのように使われているのか、日本市場での展望などを聞いた。
基本的にはビジネスネットワークのサイト。ビジネスネットワークを使って、自分の仕事の効率をよくして、インパクトを高めていくのがコアバリュー。よくSNSと呼ばれるんだけど、SNSとはちょっと違うなと思っている。ソーシャルな行動をするためにあるのではなくて、仕事をするためのツール。
SNSの中では友達とゲームをしたり、写真をシェアしたりとかすると思うんだけど、LinkedInの場合はけっこう真面目で、仕事の提案をしたり、ある会社に自分の仲間がいないか探したり、基本的に会社で使っている。
自分のプロフェッショナルプロフィールがちゃんと実名で載っていて、その自分の知り合いとか、知り合いの知り合いにコンタクトを取って、仕事の話や情報交換をするためのツール。日本にまだないカテゴリだが、米国、特にシリコンバレーでは仕事をする上で日常的に使っています。
僕みたいな投資家だと、投資先の人と共通の仲間は誰だとか、その人はいままでどんな仕事をしてきたかだとかを調べる。まず人と会うときに、その人がどんな人で、どんなネットワークを持っているかがすぐわかる。あとよくある使い道は、どこかの大企業に自分の知り合いがいないか探したいときに、LinkedInで検索すると、その会社の知り合いがすぐに出てくる。どの会社でも1人、2人を介せば、目的とする部署にたどりつけるので、組織と付き合うときには使える。
あとは専門分野にも有効だと思います。たとえば東京にいるウェブデザイナーや、中近東の法律がわかる弁護士のような専門家を探すのにすごく便利。グローバルではユーザー数1億人を超えているので、ほとんどの人を検索できる。日本のユーザー数は公開していませんが、米国とかに比べると比率は低いので、これから伸ばしていく。
そうですね。僕はブラウザのツールバーにLinkedInの検索ボックスを置いていて、誰かについてメールしたり、チャットしたりするときには、LinkedInのプロフィールのリンクを必ず入れるのね。こいつとさっき会っていたんだよとか、こいつは会うべきだよとか。
ビジネスにおいて人の話をするときにLinkedInのリンクはけっこう使える。たとえば、こういう仕事があるから、こんな弁護士知らないかって聞くと、周りの人がLinkedInのリンクを送ってくれる。検索エンジンみたいに何かを探すために使うケースが一番多いと思いますね。
あとはメディアとしての使い方もある。ワシントン・ポストのサイトでは、たとえばGoogleに関する記事が載ると、その記事の下に、Googleで働いている自分の知り合いのプロフィールや、Googleという会社の詳細な情報がわかるLinkedInのウィジェットが表示されます。
これが一番のチャレンジだと思います。一方で米国にはない日本のしきたりとしては、人事異動がしょっちゅうあって、そのたびに周りに挨拶しないといけない。けっこう面倒くさいじゃないですか。LinkedInは自分の仲間だけに見せるプライバシー設定もできるので、自分の仲間たちに、自分がいまどういうことをやっていて、いままでどういうことをやってきたかというのを、簡単に知らせることができる。
LinkedInは使ってみるとすごくメリットがある。いろいろな人から面白い話がくる。仕事に関してメールでやりとりしていることをLinkedInに置き換えると効率がよくなるので、使っていると自分の情報をどんどん入れたくなってくると思う。
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