Hoffman氏はオープニングトークで「世界の変化に順応することが大切」だと指摘した。そしてそのためのプランを立てる手法として、著書では「ABZプランニング」を提唱している。これは、物事に向かう上でA、B、そしてZという3つのプランを用意するというものである。
プランAは今まさしく自分が実践していること、プランBはその代替案である。そしてプランZだが、これはプランAとBが失敗したときのための最後の保険とするプランだという。最悪の結果にならないための救命ボートの役割をするのがプランZであり、これを用意することで、思い切った気持ちでプランAまたはBを実行することができるようになるというわけだ。
Hoffmans氏個人の経験に照らし合わせると、コンピュータ業界に進んでApple、富士通で経験を積み、SocialNet.comを創業したことがプランAだったという。そしてSocialNet.comを運営する一方で胸に秘めていたプランBがPayPalへの転職である。結果として、プランAを遂行するための学習の積み重ねと、プランBへの方向転換はいい結果をもたらした。しかしそれに全力投球ができたのは、プランZとして“父親が部屋を確保してくれている実家に帰る”という保険があったからとのことだ。
Hoffman氏はこの日、“つながり”を作ることがスタートアップおよび起業家精神のベースになることを再三に渡って主張した。そのために重宝するのがLinkedInだが、日本のビジネスマンとしてこれを利用する意義は何か。
三木谷氏は次にのように指摘している。
「アメリカに比べると、日本はソーシャルネットを仕事で使うという点で遅れてはいますが、少しずつ変わっていることも感じています。労働環境が違うので慎重になるべき部分もあるとは思いますが、少なくともネットワークを作ることは第一に重要で、いろいろなチャンスはその上にあると考えていいでしょう。日本の文化そのものも、もっと変わらなければいけません。出る杭は打たれるという嫉妬の文化は排除すべきです。イノベーションやクリエイティビティを高めるためには、社会の知恵を集約し、強化していく必要があります。そのためにはもっと積極的に外に出て行かなければいけません」(三木谷氏)
これに付け加えてHoffman氏は次のように語った。
「プロフィールの公開を“自分のプロモーション”と考えると違和感があるかもしれません。しかし、少し見方を変えて、“誰かが必要としているものを自分が持っているかもしれない”と考えてみてください。プロフィールを公開することで、その誰かがあなたを見つけてくます。その人の役に立てるかもしれないのです」(Hoffman氏)
最後に、両氏から次のようなメッセージが送られた。
「日本人は自信を取り戻さなければいけません。日本人は過去にもイノベーションのリーダーとしていろいろなものを作り上げてきたという実績がありますが、世界はどんどん変わっており、イノベーションのスピードはどんどん加速しています。世界が日本のことを忘れるのにそれほど時間はかからないでしょう。だからこそもっとアクティブになるべきだと思います」(三木谷氏)
「全てに同意します。私は今回の来日で多くの日本の起業家に会っています。彼らは非常にたくさんの面白いことをことをやっていますし、差別化のためのイノベーションを持っている人もいます。そうした起業家精神を持っている人は、ぜひ周りの人とつながりを大事にしてください。ネットワークを作り、その中でチャンスをつかんでほしいと思います」(Hoffman氏)
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