起業家として、そして投資家として著名なReid Hoffman氏が来日中だ。
LinkedInの共同創業者であり取締役会議長を務めるHoffman氏。以前はPayPalの渉外担当幹部として金融機関や政府と折衝。後に売却先となるeBayなどとのビジネス開発も担当していた。
Appleと富士通(米国法人)に勤めた経験もあるHoffman氏に、LinkedInを貫く哲学、投資家としての考えを聞いた。
--MySpaceの実質的な創業が2003年、Facebookのサービスインが2004年、そしてLinkedInは2003年5月にサービスを開始した。ソーシャルメディアとしては非常に早い段階でスタートしたことが分かるが、当初から“ソーシャル”を意識してサービスを構想していたのだろうか
私は当時、インターネットの価値は、「人がつながりあってコミュニケーションをとっていける」ことだと考えていた。オンラインで人がつながって情報を共有しあったり、お互いを見つけることができる——それこそ、私たちの生活を変える一つの方法だと考えていたのだ。
Web 2.0の革命が起ころうとしていた2002年の秋、Facebookなどの企業に投資しようと考え、そして自身でLinkedInを始めようと思った。2002年12月にチームを結集し、2003年3月に法人化、5月にサービスを開始した。
LinkedInの潜在的な可能性は、自分たちの仕事をコントロールできるようになり、自分に何を投資すべきなのかが分かるようになり、効率よく人とつながって業務を進められる点にある。人々の生活を変えることができるサービスだ。
--「プロフェッショナル向けのサービスを提供する」というコンセプトはぶれなかった?同じ分野で、同じ時期にサービスを開始したFacebookと競って、より多くのユーザーを集めたいといった誘惑もありそうだが
ソーシャルネットワークとプロフェッショナルのネットワークには違いがある。ソーシャルは、友人や家族とつながって、ゲームをしたり写真を共有したりするのが主だ。プロフェッショナルのネットワークでは、人々がビジネス面で専門家や企業とつながって情報を共有する。
私にはもともとこうした信念があり、両者は異なるサービスだと考えてきた。ひとつのサービスで両方を実現することはできないだろう。LinkedInは、常にプロフェッショナルに重点を置く。
--スタートアップといえば、InstagramやPinterestのようなコンシューマー向けサービスを考えてしまいがちだ。たとえば、次世代のOracleやSAP、Cisco Systemsのような、エンタープライズITのスタートアップには、成功の可能性がないのだろうか
コンシューマーであってもエンタープライズであっても、両方に成功できる要素はあると思う。まだまだ始まったばかりのサービスだが、WorkdayのようにHRM(人材管理)をクラウドで提供している面白い会社もある。
--スタートアップがテレビやカメラのようなコンシューマー向けのハードウェアビジネスを始めるには、障壁が高すぎると考えているか
一般的に言って、ハードウェア関連のビジネスを手がけるスタートアップは、チャレンジがより難しくなるだろう。単純なソフトウェアビジネスとは異なり、より多くのチャレンジがあると思う。ハードウェアを発表して出荷したら、その時点で製品が正しい設計になっていなければならないからだ(=サービスのように適宜修正ができない)。生産・製造や在庫管理をきちんと続ける必要もある。
--ライトロやNestのように、ハードウェアとソフトウェア、クラウドサービスをうまく組み合わせて注目されている企業もある
投資先として、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた企業に、たくさん良いところが出てきている。
Nestについては、製品が素晴らしい。CEOのTony FadellはApple出身(iPodの父として知られる)であるため、ハードウェアとソフトウェアの両方に自信をもっているだろう。
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