Frank Schilling氏は、ドットコムバブル崩壊の余波の中で、他者がほしがらなかった膨大な数のドメイン名を購入し、富を築いた。同氏はそれを続け、32万件以上のドメインが含まれるポートフォリオを積極的に構築していった。広告と買取販売との組み合わせにより、それらのドメインはSchilling氏に幾度となく莫大な財産をもたらすことになった。
43歳になったドメイン投資家のSchilling氏は現在、これまでのものをはるかに凌駕すると自身がみなす、大きな機会を狙っている。同氏は、インターネットに新たに出現しつつある巨大な部分、つまり一般トップレベルドメイン(gTLD)の自由化に際して自らの所有権を主張し、自分のgTLDにあらゆるものを含めるために、6000万ドルの資金を投じた。すべてのドメイン拡張子の王者である.comに対する風当たりは、かつてないほど強い。
Schilling氏は、「これが未来であることは間違いない。われわれは現在、ドットコム名空間が、つまりドメイン名空間全体が枯渇した状況にいる」と話す。同氏の新ベンチャーであるUniregistry.comは、54件の新しいTLDの運用を申請している。
このように、われわれは過去最大規模のインターネットにおけるランドラッシュをめぐって、次なる段階に突入しようとしている。この土地の奪い合いで対象になっているのはドメイン名そのものではない。少なくとも、今のところはそうではない。この戦いの目的は、新しいgTLDを管理し、販売する権利を勝ち取ることである。そして、このプロセスにおいて米国時間6月13日は極めて重要な日だった。ドメイン名システム(DNS)を管理する組織であるInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は13日、誰がどのようなドメイン拡張子の獲得を希望しているのかを明らかにした。
これは6年間に及ぶ大規模な事業であり、インターネット情勢を根本から作り変えてしまう可能性を秘めている。われわれは2012年中に、さまざまな企業が非常に異なる方法でブランディングを行うのを目の当たりにすることになるかもしれない。キヤノンはCanon.comを捨てて、代わりに.Canonを採用する計画があると話している。GoogleはMovies.YouTubeを使いたがっている。そして不満を感じながらドメインを購入している消費者はやがて、Schilling氏やその同類たちがgTLD自由化後の市場で要求するような高い金額を支払わなくても、はるかに容易に自分の希望するドメイン名を登録できることに気付くかもしれない。
「文字列」とも呼ばれる新しいTLDをほしがっているのはドメイン界の筋金入りの住人だけではない。それ以外の者もこの争いの中に飛び込んでいる。最も興味深いのはGoogleで、同社は5月下旬、.Googleや.YouTube、.docs、.lolを含む文字列を申請していることを明らかにした(GoogleのチーフインターネットエバンジェリストであるVint Cerf氏はブログ投稿の中で、「ウェブは世界中の人々に大きな機会を提供してきたというのに、ドメインスペースの多様性に関する問題は依然として解決していない」と述べている)。
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