1999年当時のような浮かれ騒ぎを本気で再開したいと考えていた読者はいないだろう。それならば結構なことだ。なぜなら、少なくとも今すぐには、そのチャンスを得ることはできそうにないからだ。
米国時間5月18日以前は、大きく取りざたされていたFacebookの新規株式公開(IPO)によって、1995年にNetscapeのIPOが引き起こしたインターネットブームの再来があるかもしれない、と多くの人が考えていた。その当時の「企業」は(中にはドットコムの接尾辞とマーケティング文句以外にほとんど何もない企業もあったが)、大勢の投資家を引き寄せることができていた。
そして、バブル崩壊前の時期と同じ歴史が繰り返されるのを、一部の人々は目撃した。野心的な意欲がベンチャー投資家を突き動かして、ビジネスモデルが定まっておらず、資金繰りに苦しむ新興企業の価値を15億ドルと評価するような歴史だ。確かに、テクノロジバブルが形成されつつあるように思えた。
そして、Facebookがやってきた。具体的に言うと、Facebookが株式を上場し、業界がブームまたはバブルの新たな段階に突入しようとしているというすべての期待(そして、多くの人にとっての希望)は、急ブレーキをかけたように止まってしまった。
Charles River VenturesのベンチャーキャピタリストであるGeorge Zachary氏は、「ウォール街や一般の投資家は、1999年のバブルの再来を期待していた。そして、大量の金銭に恵まれることを欲している、裕福でない新興企業の創設者や投資家は、Facebookの株価が急騰しなかったことでそれが叶わぬ夢となり、動揺している」と述べた。
彼らの言っていることは、おそらく正しい。大小を問わずさまざまな投資家がFacebookによって痛い目に遭わされた。25日の段階で、同社の株式はIPO価格から約16%下落した1株31ドルで取引されている。一部報道では、引受会社が重要な顧客に対してFacebookの事業が悪化している旨を警告したとされているが、米政府当局の調査官は、このときに何らかのルール違反がなかったかを判定する調査を行っている。そして、次から次へと訴訟が起きている。
一方、報道機関は、Facebookの株式公開日に関することで腹を立てている個人投資家について大きく取り上げており、Scottradeのような仲介業者は批判をかわして、NASDAQ証券取引所に非難の矛先を向けている。Mark Cuban氏はFacebookのIPOに関する事後分析の中で、われわれは「ウォール街の個人投資家に別れを告げる」ことになるかもしれない、と大げさに警告している。
この件の影響を考えると、次に株式上場を目指す大規模な消費者向けインターネット企業、特にソーシャル分野の企業は、あらゆる面で売り込むのが難しくなるだろう。制度の信頼性が失われている。少なくとも、Morgan Stanleyの言葉を信じる人などいるだろうか。
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