真面目な話をすれば、Facebookのガバナンスについて良くも悪しくもZuckerberg氏に絶大な力が集中していること——「株式公開後も過半数を超える議決権を同CEOが持ち続ける」「初代社長をつとめたSean Parker氏が自身の苦い経験をふまえて考え出したとされるガバナンスのセットアップにより、同社取締役会(現状は7人)でZuckerberg氏が3議席分を保有」など(註9)——は、すでにS-1(SECへのIPO申請書類)提出時には広く報じられていた事柄だ。また、4月初めに決めたInstagram買収の際にも、Zuckerberg氏がわずか3日あまりの交渉で「10億ドルのお買い物」を独断で決めてしまった、といった話が伝えられ、改めて浮き彫りになっていたことでもあった(註10)。
そんなふうであったから、いまFacebookの株式を買うのは、すなわちこのZuckerberg氏本人の能力に賭けること——もう少し詳しくいうと、わずか8年あまりの間に9億人を超える登録ユーザーを集めたこのサービスを生み出し、育て上げたZuckerberg氏が、これからどれほど膨大なユーザー層を「金の卵を産む雌鳥」に変えられるか、その手腕に期待してみることであり、いまさら「服装が真面目かどうか」といった点を問うこと自体がナンセンス、というふうに思っていた。
だが、このコラムを書くにあたって、あらためて過去にスクラップした記事を漁り、ある考えが頭に浮かんだ。それは、一言でいうと「Zuckerberg氏が投資家向けの説明会を『真剣勝負の場』と捉えていたからこそ、例のフーディを身にまとってその場に臨んだのではないか」というものだ。
Zuckerberg氏は、過去の言動から推測すると、子供っぽい自己主張をするためにあえて特定の服装をする人物ではないと思える節がある。育ちはいいし、3月末に野田首相と握手していた際もそうだが、過去にオバマ大統領やサルコジ元仏大統領、メルケル独首相などと会った際にはネクタイを締め、スーツを着用していた(註11)。TPOくらいきちんとわきまえている人物、ということがそこから判断できよう。
では、同氏にとってトレードマックとなったフーディはなにを意味するのか?(次ページ「ハッカーの流儀」)
現在、Zuckerberg氏以外では、以下の各氏がメンバーに名を連ねている。
The deal - so large and cobbled together so quickly - underscores Mr. Zuckerberg's control of Facebook and how he drives the social network's pace. Unlike some founders, Mr. Zuckerberg has an extraordinary hold on his business. He owns about 28.4 percent of all Class B shares, and through agreements with other investors, he has voting control over more than 57 percent of Class B shares. His power is expected to swell over time, as Class B shareholders sell their stock.
The Instagram Deal: A Mark Zuckerberg Production - NYTimes
ちなみに、FacebookとInstagramの双方に出資するMarc Andreessen氏——かつてNetscape Browserを開発した「神童」("Boy Wonder")も、近頃ではすっかり「シリコンバレーの名伯楽」となった感がある——が、毎週日曜の晩にZuckerberg氏とやっている定例ミーティングに出るつもりでZuckerberg邸に脚を運び、そこで買収交渉の話を詰めていたInstagramのCEO、Kevin Systrom氏と鉢合わせし、その談になって初めて「実は決めたよ……」と聞かされたという話もある。
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