Facebookは普通の企業ではない。そう考えると、同社の新規株式公開(IPO)も当然、ありきたりなものになるはずがない。
数日中にも、Mark Zuckerberg氏とその友人たちはNASDAQのベルを鳴らすことになる。われわれは、インターネット企業としては史上最大規模のIPOを目撃するだろう。Facebookは100億ドル以上を調達する見込みで、その評価額は1000億ドルを超えるだろうと筆者は予想している。
今回のIPOで最も素晴らしいのは、これらがすべて、自身の企業を完全に掌握する28歳の最高経営責任者(CEO)の指揮の下で行われるということだ。投資家の中には、IPOに対するZuckerberg氏の頓着しない態度に不満を述べる者もいるが(Zuckerberg氏がスーツを着ていないことに苦言を呈するなど)、このIPOにかかわりたがる投資家はいくらでも存在する。
FacebookはIPOの伝統的な規則をゆがめたわけではなく、根本的に変えてしまった。FacebookのIPOは10年に1度という規模だが、その影響はもっと長い期間にわたって感じられるだろう。Facebookによって根本から変化したIPOを取り巻く状況について、本記事ではいくつかの点を解説する。
1. 銀行家ではなく、今話題の企業がルールを決める。銀行家の影響力は低下し、その一方でシリコンバレーの影響力は大きくなっている。Lehman Brothersの破綻は金融セクターの評判を恒久的に傷つけた。さらに、同業界では雇用が大量に減り続けている。
その反面、シリコンバレーの企業は上昇気流に乗っており、銀行各社はそのことを把握している。テクノロジ企業は、自社のエンジニアとして採用するための十分な数の人材を見つけられずにいる。そして、「ソーシャル・ネットワーク」のような映画や、Instagramのような企業の大規模なイグジットのおかげで、テクノロジ新興企業には以前よりもはるかに多くの資金が流れ込んでいる。
その結果として、Facebookなどの話題のテクノロジ企業が投資銀行家を必要とする度合いよりも、投資銀行家がそうしたテクノロジ企業を必要とする度合いの方がはるかに強くなっている。そして、創設者の支配権がより重視されるようになったことや、非公開市場の流動性の高まり、米政府の規制の変化により、IPOを目指すインターネット企業は以前よりもはるかに大きい権限と影響力を持って、交渉に臨んでいる。
2. 今後のIPOでは、Morgan Stanleyが主導権を握る。Morgan StanleyはFacebookのIPOで、誰もがほしがる「lead left」(書類の上段左側)の位置を勝ち取った。つまり、同社は最も多額の手数料と自慢する権利を得たということだ。そして、Business Insiderが指摘しているように、Morgan Stanleyはこのところ、LinkedInやZyngaといった企業のIPOでも、勝利を収め続けている。
CNNによると、Morgan Stanleyは2011年における上位20位のインターネットIPOのうち、65%以上で主引受会社になっており、Bank of America(9.6%)やGoldman Sachs(7%)を完全に圧倒したという。
Morgan Stanleyは、最近の3件の大規模なインターネットIPO(Google、LinkedIn、Facebook)で引受会社を務めたことになる。Goldmanも盛り返してはいるが、Morgan Stanleyは強大で、IPOを掌握している。Morgan Stanleyは当分の間、その立場を維持するのではないかと筆者は見ている。
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