IPO市場には小規模な投資銀行が不在だという、より説得力のある別の説明もある。筆者がベンチャーキャピタル事業を開始したとき、われわれはAlex.Brown Inc.とHambrecht & Quist Group、Robertson Stephens & Co.、Montgomery Securitiesの「四騎士」を使って、多くの株式をメインストリームの投資家にもたらした。
00年代の前半までに、ウォール街の企業がこの四騎士と、それによく似たほかの多くの投資銀行を食い尽くしてしまった。リスクに対してよりオープンで、売上高が5000万ドル以下の企業とも積極的に取引を行う小規模な投資銀行が戻ってくれば、間違いなく市場の活性化に寄与するはずだ。
しかし、鍵となるのはIPO文化の復活だ。ここで話題にしているのは、「Ferrari」が何台も並ぶ駐車場のようなものではない。IPOの持つ力、そして若い起業家たちが再びIPOを価値ある目標として受け入れることが重要な理由についての話だ。
筆者は7年前にベンチャーキャピタルを辞めて、スタンフォード大学ビジネススクールで起業家精神について教えるようになった。わたしは毎年、John Morgridge氏がCisco Systems最高経営責任者(CEO)就任直後の90日間に直面した課題の数々について講義を行う。非常に幸運なことに、われわれはMorgridge氏本人にゲスト講師として講義に参加してもらっている。
「私がCiscoに入社したとき、同社の最初の20人の従業員全員が頭に描いていた目標は何だったか」。2011年、講義の中盤でMorgridge氏が学生にそう尋ねたとき、筆者はすっかり驚かされた。
学生たちは完全に困惑していたが、筆者のような古参にとって、その答えは明白だった。IPOである。学生たちは混乱した表情を浮かべた。何人かは、「なぜ上場することなどに関心を抱くのか」と尋ねた。
生徒たちは異なる起業家精神のモデル、つまり次から次へと企業を素早く売却していくという、ほとんど幻想にすぎない「連続起業家」モデルとともに成長してきた。多くのブログサイトで称賛されているそのモデルによれば、企業は創設され、その後2000万~3000万ドルで迅速に売却されるべきだという。起業家はおそらく500万ドル程度のお金を手にして、次の新興企業へと移る。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス