筆者のクラスの学生たちが理解していないのは、彼らが別の優れたアイデアを思いつく可能性は極めて低いということだ(Steve Jobs氏でさえ、2社目の企業を興したときは失敗した)。さらに重要なことに、世界を変える企業の設立という自らのビジョンとともに募集した優秀な人々はどうなるのか、学生たちは考えたことがない。
素早い売却は起業家にとって素晴らしいことかもしれないが、創設者以外のチームには当てはまらない。10万ドルの報酬と、起業家が去ることを選んだ大企業のために働き続けなければならないというそれほど魅力的でない将来の見通しのために、1週間に100時間も働く人などいるだろうか。
偉大で独立性があり、世界を変えるような企業は、IPOによって誕生する。筆者は何年にもわたって、学生たちにそのことを納得させようとしてきたが、真意が本当に伝わったことはなかった。
学生たちは、将来自分が雇うことになる従業員の立場に身を置いて考えると、すぐにひらめきを感じて、独立した公開会社を作り上げることの利点に気付いた。
だからこそ、筆者はFacebookのIPOを楽しみにしている。IPOによって、従業員や投資家が裕福になったり、市場がよみがえったりするのが理由ではない(もちろん、それらが実現すればうれしいが)。筆者は、FacebookのIPOによってシリコンバレーが再び偉大な企業の構築に注力することを期待し、それを待ち望んでいる。野心的に考える人が増えるだろう。野心的な人が増えれば増えるほど、大規模で優れた企業がより多く誕生するようになる。
筆者は講義に向かうとき、Hewlett、Packard、Gates、Clark、Yang、Huang、Knight、Schwabなど、独立した公開会社を作り上げた起業家たちにちなんで命名された建物を通る。これらの公開会社が可能にする社会的貢献がなければ、スタンフォード大学は、シリコンバレーの革新サイクルを動かし続けるのに必要な才能を輩出できなくなるだろう。
Andy Rachleff氏は、米証券取引委員会(SEC)に登録されたオンライン投資顧問企業Wealthfrontのプレジデント兼高経営責任者(CEO)だ。同氏はBenchmark Capitalの共同創設者で、元ゼネラルパートナーでもある。スタンフォード大学ビジネススクールで教鞭を執っており、テクノロジ起業に関する講座を担当している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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