Adobe Systemsを同社の「Flash Player」ソフトウェアを理由に強く批判したがる人々は多くいるが、同社を改めて見直すべきときが来たようだ。
なぜなら、現在のAdobeは、リッチでインタラクティブなウェブを実現する手段としてFlashを長く奨励してきた以前の同社とは大きく異なるからだ。Adobeは、ウェブ標準を犠牲にして独自の自家製テクノロジを奨励する代わりに、ウェブ標準を推進するウェブテクノロジ企業として生まれ変わろうとしている。
AdobeのCSSシェーダにより、このGoogle Mapsのウェブページは本物の地図のように折り畳める。
提供:screenshot by Stephen Shankland/CNET
目に留まるのはウェブ標準だけではない。Adobeは本格的なタブレット向けアプリによって、PC時代の先に進もうともしている。Adobeのソフトウェアに組み入れられる豊富でクリエイティブなセットにとっては自然なことであるが、同社にとって、開発と販売における大きな変化だ。
最新のコンピューティングトレンドにおけるAdobeの重要性を高める上で、同社の新たな取り組みがどの程度成功するのかは分からない。しかし、時代に適応しようとする同社の姿勢は、そろそろ評価されるべきだろう。
行動は言葉よりも雄弁なり
Adobeは同社のウェブへの取り組みについて何年も前から語ってきたが、行動は言葉よりも雄弁だ。同社のウェブに関する新たな優先事項を示す、最近の重要な動きを以下に紹介する(そのいくつかは、2週間前に「Adobe MAX」カンファレンスで発表された)。
- Adobeは、動的でインタラクティブなウェブサイトをデザインできる「Adobe Edge」というソフトウェアの開発に取り組んでいる。Edgeの開発はプレビューリリースによって公開されているため、Adobeは開発者と優先事項について話し合ったり、フィードバックに対応したりすることができる。Edgeはプロフェッショナル向けのツールとして設計されている。
- Adobeは標準、特に、ウェブページのフォーマットを設定するCSS標準の策定に関して、指導的な役割を担っている。同社はオブジェクトの周囲やオブジェクト内において、高度で雑誌のようなテキストフローを定義する「CSS Regions」および「CSS Exclusions」を推進してきた。さらに2週間前、ウェブページの3D形状と色彩効果をプログラムでアニメーション制御できる「CSS Shaders」をそれに追加した。CSS Shadersは「WebKit」プロジェクト内部にブラウザコードを直接構築することで、そうしたアイデアを具現化している。
- 買収によって、Adobeは新たなウェブ市場に進出している。AdobeはMAXで、Nitobiの買収を発表した。Nitobiの「PhoneGap」ソフトウェアを利用すると、ウェブ開発者は各携帯電話の設計の詳細をあまり気にすることなく、さまざまな携帯電話向けにアプリを作成することができる。そして、Adobeは同ソフトウェアをプロプライエタリなツールにしておくつもりはない。PhoneGapはApache Software Foundationでオープンソースソフトウェアプロジェクトとして提出され、Adobeはその動きを「全面的に支持」している。