進歩の激しい分野において巻き返しを図るAdobeは、遅れをとりもどすための確実な手段として、NitobiとTypeKitという2つの企業を買収する。
Adobeは長年にわたって、高度なウェブデザイン向けに同社の「Flash Player」技術を推進してきたが、現在、その最大の代替技術であるHTML、CSS、JavaScriptといったウェブ規格を全面的に取り組んでいる。同社は米国時間10月3日、まさにこの移行に取り組む人々が集結する同社の開発者およびデザイナー向けカンファレンスAdobe MAXの開催に合わせて、2社の買収を発表した。
全般的には、2社の買収は戦略的に理にかなっている。どちらの企業も、新時代の技術という観点においてAdobeに新しい確実な開始点を与えるものである。しかし、買収条件は公表されていないため、Adobeが2社の買収にどれだけ大きな金額を支払ったかは明らかではない。TypeKitの買収は完了しているが、Nitobiの買収は2011年10月に完了する見込みであるとAdobeは述べた。
Nitobiは、多様な携帯電話上で動作するウェブアプリケーションを作成するためのオープンソースプログラミングツールである「PhoneGap」を開発している。これは、Adobeが「Flash」で採用してきたクロスプラットフォームのアプローチにうまく適合する。つまり、プログラマーは対象システムを気にせずに好きなものを作成して、各種システムの違いにはツールが対応するというアプローチである。
TypeKitは、ウェブベースのタイポグラフィという異なる分野を対象とする。同社は、洗練されたフォントをCSSの新機能を利用してウェブ上で使用したいユーザー向けに登録サービスを提供している。Adobeも、この方法で独自のフォントを配布する企業の1つである。
Adobeは既に、雑誌などでフォントを使用するユーザー向けにフォントをライセンス提供しているが、フォントのデジタル版を配布する権利を企業が必ずしも保有しているわけではないオンイン時代に合わせて、この事業を調整する必要がある。CSSとそれに関連するWeb Open Font Format(WOFF)技術は、ブラウザにおけるレンダリング向けにデジタルフォントを配布する。これは、PNGやJPEGの画像に文字を入れる場合と比較して、ダウンロード時間を短縮でき、スマートフォンから大画面テレビにいたるまでのあらゆるディスプレイに対応するための柔軟性を高めることのできる方法である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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