米国ロサンゼルスでAdobe Systemsのユーザーカンファレンス「Adobe MAX 2011」が開幕した。現地時間10月2日の基調講演では、CTOのKevin Lynch氏によって新たなプロクリエイター向けのクラウドサービス「Adobe Creative Cloud」と、それに付随するタブレット機向けのアプリケーション群「Adobe Touch Apps」が発表された。
Creative Cloudは、クリエイターが画像ファイルやPhotoshop、Illustrator、InDesignなどのドキュメントを保存し、管理、共有できる20Gバイトのストレージサービスのほか、ユーザー同士が交流できるコミュニティサービス、サブスクリプション形式で利用できるCreative Suiteファミリーのデスクトップアプリケーションなどから構成される。
Touch Appsは、Android、iOSのタブレット機上で利用できるAIRベースのアプリケーション群。Creative Cloudのストレージサービスと組み合わせることで、マルチデバイスでの作業環境をクリエイターに提供する。Lynch氏によれば、この新たなサービスとアプリケーション群は「Adobeの解体と変身」の象徴となるものという。
Touch Appsとして発表されたのは、ベクトルグラフィックが扱えるスケッチアプリ「Adobe Ideas」、クラウドベースの写真共有ツール「Adobe Carousel」、カラーテーマの作成および管理アプリ「Adobe Kuler」、グラフィックパーツを使ったコラージュ画像の作成ソフト「Adobe Collage」、各ツールで作成した成果物をプレゼンテーション向けにオーガナイズする「Adobe Debut」、ウェブサイトのプロトタイプをタブレット機のタッチインターフェースで作成でき、Dreamweaverとの連携も可能な「Adobe Proto」、より高度な画像編集機能を提供する「Adobe Photoshop Touch」の各製品。
現在公開されていない製品については、11月よりAndroid向けのベータ版をリリースし、2012年内にはiOS対応版をリリースする予定。また、Carouselのように、iOS向けが先行してリリースされているものについては、追ってAndroid対応版をリリース予定という。
これらのTouch AppsはCreative Cloudの構成要素の一部だ。Touch Appsに加え、デスクトップ向けの各Creative Suite製品から、作成したコンテンツをクラウドストレージ上に保存し、他デバイスの環境から閲覧、編集したり、レビューをしたりといったワークフローを実現するものになる。現状、Creative Cloud上で管理できるコンテンツは、JPEG画像をはじめ、PhotoshopのPSDファイル、IllustratorのAIファイル、InDesignのINDDファイル等の静的なドキュメントに限られるが、今後は動画等への対応も視野に入れているという。
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