Adobe Systemsが「Flash Player」のウェブ上での地位を当たり前と思えた日々が過ぎ去って久しい。
しかしAdobeは、「Flash Player 11」を近日中に公開し、このブラウザプラグインへの反対と代替製品の存在という強力な組み合わせに反撃しようとしている。10月初旬の開発者向けカンファレンス「Adobe Max」で予定されているFlash Player 11のデビューは、プログラマーに、あるメッセージを伝えるためのものとなっている。それは、Flashはいまだに有意義なものであり、AdobeはFlashに投資し続けているというメッセージだ。
Flash 11の目玉である、ハードウェアアクセラレーションに対応した3Dおよび2Dグラフィックスのための「Molehill」インターフェースを理由に、Flashが徐々にウェブから姿を消すことを期待している人々の考えが変わることはないだろう。また、Flashに反対しているAppleやMicrosoftが態度を覆すこともないだろう。しかしMolehillは、ゲームにとって強力な新機能であり、そしてゲームは、Adobeが守ろうとしているFlashの最後のとりでの1つだ。
Adobeのプラットフォーム担当ゼネラルマネージャーのDanny Winokur氏は「GPUに直接アクセスすることで、Flashの従来バージョンよりもレンダリングがはるかに高速化している」と語る。非常に多数のオブジェクトを1秒間に50フレームというリフレッシュレートで動かせるため、「Xbox 360」や「PlayStation 3」のゲームのような「家庭用ゲーム機品質のゲーム」がウェブブラウザ上で登場するのを期待できる。
同時にAdobeは、Flashのクロスプラットフォームという特徴が持つプログラミング上の魅力を保つために、別の戦略を用意している。Flashが禁止されていたり、単にインストールされていなかったりするのが原因でFlashアプリケーションを実行できない場合のため、Adobeの「AIR 3」は、Flashアプリケーションをスタンドアロンのアプリケーションとしてパッケージできるようにしている。
言い換えれば、Flashがインストールされているのを期待できない場合に備えて、開発者がFlashをアプリケーションに直接組み込めるようにしたということだ。
また、新たに64ビットをサポートする。これはFlashが、新しいプロセッサに近づきつつあるブラウザとの互換性を保つのに役立つ。
批判的な人々は異議を唱えるかもしれないが、Adobeの動きは本物だ。Flashには、経験豊かなプログラマーが多数いる上、このプラグインはデスクトップブラウザの98%にインストールされている。Flashがアプリケーションを書く唯一の方法でないことは明らかだが(Adobeでさえ、競争を受け入れている)、Flashがまだ多くの人に使われていることも同じように明らかだ。
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