2週間前にFlash 11とともにリリースされた新しい「Adobe AIR 3」は、「キャプティブランタイム」テクノロジを備え、iOSデバイスや近い将来登場する「Windows 8」の「Metro」インターフェースなど、Flashのサポートされていないところに対するAIRアプリケーションの配布を支援する。リッチな視覚効果を特徴とするゲームで、約1カ月前に「iPad」の販売ランキングのトップに上り詰めた「Machinarium」でも、このテクノロジが使われている。
AIRは、Adobeのタブレット向けアプリ群「Adobe Touch Apps」の少なくともいくつかにおいても、一定の役割を果たしている。Touch Appsは、6種類のプロフェッショナルプログラムの新しいスイートで、それぞれのプログラムは11月に各10ドルで発売される。iOSでも動作する1つの例外を除き、プログラムは当初、Android「Honeycomb」向けにリリースされる予定で、iPad対応版は2012年に登場するようだ。
AIRのパッケージングのクロスプラットフォームな性質を考えると、少なくとも理論的には、iOS版の開発は難しくないはずだ。ただし、Adobeは二番手のタブレットで慎重に着手して、GoogleのHoneycombのプロモーションに力を貸し、iOS版の開発は時間をかけて行いたいと考えているのかもしれない。
モバイルプロジェクトは、ほかにもある。2週間前に発表された新しい 「Digital Publishing Suite Single Edition」だ。このツールにより、Adobeの「InDesign」ソフトウェアでコンテンツを作成するユーザーは、Adobeサービスを通して、そのコンテンツをAppleの「App Store」で配布可能なパッケージ版に変換することができる。
こうして全体的に見ると、若干の見解の相違はあるものの、Steve Jobs氏が示した「Adobeは将来に向けて素晴らしいHTML5ツールを作ることにもっと注力すべきだ」という見解にAdobeが実質的に同意しているのが明らかになる。
タブレット分野の取り組みを監督するシニアプロダクトマネージャーのJohn Nack氏によると、AdobeとAppleのちょっとした争いは大きな悪影響を及ぼし、「Adobeの関係者の多くはiPadアプリを構築することの妥当性に疑問を呈したり、われわれによるアプリの出荷が許可されるのかどうかさえ疑問に感じたりしていた」という。Nack氏はJobs氏に質問することに決め、次のような回答を受け取った。「われわれはiPadのクールなAdobeアプリを歓迎する。(中略)この答えが役に立つことを願う」(Jobs氏)。その答えは実際に役に立った、とNack氏は述べた。
もちろん、Jobs氏はFlashのことを良く思っていなかったし、Adobeは依然としてFlashを気に入っている。しかし、Microsoftが「Windows Phone」とWindows、AppleがiOSと「Mac OS」、Googleが「Chrome OS」とAndroidを提供するなど、大企業は複数の検討事項を持ち、それらを同時に遂行することが多い。Flashとウェブ標準を推奨することは、必ずしも互いに相容れない活動ではない。
Adobeのウェブとモバイルへの取り組みは、同社にとって比較的新しいことではあるが、単にうわべを飾るだけのものではない。批判的な人々はそれでもAdobeのあらを探すだろうが、その作業は以前よりも少し困難になっているはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」