Flashに関してAdobeがやるべきことは、今でもたくさんある。モバイルデバイス上でのパフォーマンスを改善して、プログラマーにモバイルデバイスでFlashを使うよう説得することもその1つだ。ノートPC中心の時代になり、バッテリを大量に消費するテクノロジを人々が許容しなくなってきた現在では、PC上でのパフォーマンス向上も重要だ。
ただし、Flashに関連する主要分野の1つであるゲームにおいては、ハードウェアアクセラレーションを利用したグラフィックスがパフォーマンス問題の改善に寄与するはずだ。最新の「Flash Player 11」が正にそれで、2Dおよび3Dグラフィックス向けのインターフェースを備えている。
実際に、誰もが愛するカジュアルゲームのデザイン企業で、Angry Birdsで有名なRovio Mobileが、Flashを支持した。RovioはMAXで、Flash 11のハードウェアアクセラレーションによるグラフィックスで構築された次回のバージョンのAngry Birdsを披露した。Rovioの北米事業担当ゼネラルマネージャーであるAndrew Stalbow氏によると、「数カ月以内」にリリース予定のこの新バージョンによって、同社は、Angry Birdsをすでにダウンロードした4億人のユーザーを上回る人々に届けることができる見通しだという。
「われわれの目標は、Angry Birdsを世界中のすべてのデバイス、プラットフォーム、およびユーザーに提供することだ。われわれはFlash 11と連携して、全く新しいユーザー層にリーチすることに興奮を感じている。それは、われわれが米国内外のソーシャルネットワークに展開する上で助けになるだろう」(Stalbow氏)
Stalbow氏によれば、新しいAngry Birdsゲームエンジンでは、プログラマーがコンピューティングデバイスのGPUを利用できるようにするFlash 11の「Molehill」インターフェースが使われているという。「GPUの性能を利用すれば、2D体験を大幅に向上させることができる。われわれの爆発や特殊効果では、パーティクルが5倍に増えている」(同氏)。
Rovioは、おそらくFlashが果たす役割を示す好例だ。つまり、Flashはゲームを記述するためのツールではあるが、もはや主要なツールではない。Rovioは「iOS」および「Android」ネイティブのAngry Birdsも提供している。そして、Googleとのプロモーション提携を通じて、ウェブ標準を使用するAngry Birdsも構築した。
Flashは、人々がそれを使用していることに気付きさえしないような組み込み型テクノロジとしても存在し続ける。なぜなら、Flashは「Adobe AIR」のコンポーネントだからだ。AIRはAdobeが提供するプログラミング基盤で、Flashやウェブテクノロジを使用するスタンドアロンアプリケーションの作成を可能にする。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」