GoogleはブラウザベースOS「Chrome OS」がウェブアプリケーションの未来に大きな変化を起こすと期待しているが、懐疑的な考えを抱いている人は多い。
しかし、そのビジョンの売り込みに関して言えば、潜在的な影響力を持ち、すでに第一歩を踏み出した複数の企業がGoogleの側に付いている。すなわち、「Google Apps」スイートの販売事業を手がけるパートナーだ。
Google Appsは、「Gmail」、カレンダー、ワードプロセッサ、スプレッドシート、プレゼンテーションといったウェブアプリケーションで構成されるスイートであり、サブスクリプション形式で1ユーザーにつき年間50ドルで販売されている。Google Appsはまだ「Microsoft Office」を追い抜くには至ってないものの、多くの顧客がいる。そして、一度Google Appsのビジョンを受け入れた人にとっては、そこからChrome OSまで進むことはそれほど過激な一歩ではない。「釈迦に説法」のようなものだと考えていい。
Chrome OSは、5月に開催の開発者向けカンファレンスGoogle I/Oで披露された「Chromebook」ノートPCの主要機能だ。しかし、Chrome OSは既存のコンピューティングテクノロジと大きく異なるため、Chrome OS搭載ノートPCはまだ万人向けでないかもしれないということは、Googleもよく理解している。そのことは、Chromebookの販売をオンラインチャネルだけに限定している理由の1つでもある。第1弾のChromebookは米国時間6月15日に出荷予定だ。
その間、Google Appsの販売代理店で、同テクノロジへの移行を容易にするためのトレーニングやマイグレーションのサービスを提供しているサードパーティーは、Chromebookの普及を手ぐすねを引いて待っている。
販売代理店Appirioの最高技術責任者(CTO)であるGlenn Weinstein氏は、「複数のGoogle Apps顧客がChromebookへの移行に興味を示している。タイミングは良好で、関心も高い。もしわれわれが今日、Chromebookを手に入れることができたら、明日にはユーザーの関心を引くことができると思う」と述べた。Appirioは3カ月にわたって、Chromebookのプロトタイプ「Cr-48」を社内で自社の業務に使用している。
Google Appsの販売代理店Cloud Sherpasの共同創設者兼マーケティング担当バイスプレジデントであるMichael Cohn氏も、顧客の関心を得ている。「Googleが販売代理店向けプログラムを開始したら、すぐにChromebookの提供を開始する予定だ」(Cohn氏)
そうした販売代理店の方向性は、GoogleのChrome OS戦略とぴったり一致している。つまり、既にChrome OSに熱中しているユーザーに注力して満足させてから、より大きな市場に広げていくという戦略だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」