当然ながら、Chrome OSに関する注目の多くは、消費者にどの程度アピールできるかということに向けられている。すぐに使えるお金が500ドルあったとしたら、皆さんはChromebookと「iPad」のどちらを買いたいだろうか。
Googleはこうした考え方を否定してはいない。筆者がChrome担当シニアバイスプレジデントのSundar Pichai氏に、Chrome OSは主に企業を対象としているのかと尋ねたところ、同氏は次のように述べた。
「多くの消費者にとって素晴らしいデバイスだと確信している。これは時間の経過とともに発展していくものだ。消費者向けとしても企業向けとしても同等の成功を収めるという絶対的な自信がある。両方に適しているからだ」。Pichai氏は米CNET Newsのインタビューでこのように述べた。
消費者にとって、Chrome OS搭載ノートPCをキッチンやリビングに置いて、電子メールの返信やレシピの確認、ニュースの閲覧に使うのは便利かもしれない。しかし、現状ではChromebookは万人向けでない。Skype動画チャットやビデオゲームの「Crysis」、大人気を誇る数多くのiPadアプリケーションを利用することができないからだ。
ただし企業の場合、状況はかなり異なる。企業では、権限を持つ中央部署が、コンピューティング機器の購入や実行するソフトウェアの決定、メンテナンスを担当していることが多い。こうした環境では、一般消費者を落胆させるようなChrome OSの短所が逆に長所となる可能性もある。
Cloud LogicのコンサルタントScott McKenzie氏は、「企業のIT部門はデータの完全性とセキュリティを確保するため、既にシステムをロックダウンして、ユーザーが自由にアプリケーションをインストールできないようにしている」と述べる。同氏は7月か8月にChromebookサービスの販売を開始したいという。「Chromebookは、大企業が長年にわたって行使してきたユーザーのシステムおよびデータ完全性に対するコントロールを、小中規模企業でも利用できる機会だと思う。それでいて、メンテナンスコストもはるかに安く、そうした機能を実現するために高価なシステムを導入する必要もない」(Scott McKenzie氏)
つまり、消費者にとってはChrome OSの魅力が薄れるような制限が、実は企業顧客にとっては価値あるものとなる場合もある。
Chrome OSはノートPCにインストールされた状態でのみ提供され、誰もがインストールできるスタンドアロンのOSとしては販売されない。消費者は従来の方法でChrome OSを購入することができる。例えば、3Gハードウェアを搭載するサムスン製Chromebook「Series 5」は、データプラン抜きで499ドルだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力