サンフランシスコ発--大手テクノロジ企業で2種類のOSを提供しているのはGoogleだけではない。しかし、2種類のOSでこれほど異なるアプローチを取っているのはGoogleだけだ。
「Android」と「Chrome OS」は、当地で開催のGoogle I/Oカンファレンスで、それぞれ1日ずつ取り上げられた。Google I/Oは、Googleのテクノロジへのプログラマーの関心を呼び起こすためのカンファレンスだ。
Googleは米国時間5月10日、タブレット向けのHoneycombのアップデート「Android 3.1」を発表し、キーボードやマウス、ゲームコントローラなどの多くのUSBデバイスやBluetoothデバイスを接続する機能を追加した。つまり、Android 3.1は、タブレットをアーキテクチャの面でPCに近づけるものと言える。
しかし、11日はChrome OSのニュースで持ちきりだった。ブラウザベースのOSであるChrome OSによって、サムスンやAcerの新しいノートPCが、ウェブアプリケーションのためのマシンとなる。
2日間で2つの考え方が示された。その1つでは、ユーザーの目の前にあるデバイスで、アプリケーションがネイティブに動作する。新しいスマートフォンがプログラマーの新たな関心を爆発的に高めていることを別にすれば、昔からあるスタイルだろう。もう1つの考え方は、クラウドコンピューティングの究極の形である。ユーザーは高機能のリモコンを手にしているにすぎず、ネットワークの向こう側にあるサーバが全体を仕切っている。
とはいえGoogleは、この両方に可能性があると考えている。11日にGoogleが初のChrome OS搭載ノートPCを発表した後で、同社共同創設者Sergey Brin氏は記者団に対し、プロレスの金網デスマッチのような、出てこられるのは2人のうち1人だけというアプローチにはならないと述べた。
Brin氏は「2つの素晴らしい成功を手にしているというのは大きなジレンマだ」と言う。「Chromebook」が6月15日まで出荷されず、まして成功が証明されていないことを考えれば、Brin氏の言い方は少々大仰かもしれない。同氏は「われわれはAndroidとChrome OSのいずれかを選べて幸運だと思う」と述べ、むしろ有り余るほどの財産を手にしていることをうかがわせた。
同社の最大の競合企業にも2種類のOSがある。Microsoftには「Windows」に加えて、モバイルデバイス向けの「Windows Phone 7」がある。Appleは「Mac OS X」と「iOS」だ。それぞれに一定の相乗効果がみられるものの(ARMベースのコンピュータの普及と、モバイルOSの成長に伴って、相乗効果は大きくなるだろう)、こうしたOSプロジェクトは分離している。
しかし、考え方の点では共通している。プロセッサ、入力用ハードウェア、出力用ディスプレイを備えたデバイスというのが、その独自の小宇宙の中心にあるものだ。Googleの世界観は、それよりはるかに分散的である。
もちろん、クラウドはAndroidにとっても重要だ。Androidは「Gmail」や「Google Docs」といったネットベースのサービスへの入り口になるように意図されている。Androidはモバイルコンピューティング革命を加速することを目標としており、その仕事をうまくこなしている(役割のほとんどを先導しているのはAppleだが)。つまり、その目的の1つはサーバとの接続ということになる。
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