コンピュータ業界では、マイクロプロセッサ、PC、デスクトップソフトウェア、ビジネスソフトウェア、ネットワーキング、オンライン検索といった多くの波が、莫大な資産を持つ世代を生み出してきた。だが、Googleの会長Eric Schmidt氏は、今日の世界で金持ちになりたければ、プラットフォームを構築せよ、とアドバイスする。
Schmidt氏は米国時間5月24日、パリで開催されたe-G8フォーラムのパネルディスカッションで、他社製のソフトウェアが実行可能な基盤を構築するというアイデアを唱えた。
Schmidt氏は、「富への最速の道は、こうしたデジタルプラットフォームの構築」であり、それを提供した企業は活動の中心となって、「他者は(プラットフォーム企業に)依存する」と述べた。
Googleは自社でも独自のプラットフォームを抱えているが、Schmidt氏はプラットフォームの発想に関してAppleに最高評価を与えた。
Schmidt氏はe-G8フォーラムで、「最も興味深い例はAppleの『iOS』プラットフォームで、これは莫大な価値を生み出してきた」と述べた。同フォーラムは、表向きには主要8カ国(G8)首脳会議のため5月第4週にフランスに集まる政府首脳に向けて、ハイテク界の有力者たちのインターネットに対する見解を伝える目的で開催されたものだ。
Googleは現在、「Android」と、おおざっぱに言えば「ウェブ」という2つのプラットフォームを構築している。AndroidはiOSと直接競合し、ウェブについては他の組織が数多く関係しているのでより漠然としている。ウェブはGoogleより前から存在しているが、同社は近年、ウェブをこれまでの静的なサイトのための場から、自社の「Google Docs」のような双方向アプリケーションの基盤へと変革させてきた。
ただしGoogleは、ウェブプラットフォームに関して少しばかり矛盾した見解を持っている。
Googleでアプリケーション開発関連担当シニアバイスプレジデントを務めるVic Gundotra氏は、5月10日から11日にかけて開催されたGoogle I/Oカンファレンスで、「ウェブは、われわれの誰にも所有されていないプラットフォームだから、真にわれわれ全員に属する唯一のプラットフォームだ」と述べた。
では、ウェブプラットフォームが皆に所有されるなら、どうやって一企業が富を得る中心的、本質的な役割を担うのか? Googleの場合、2つの戦略がある。
第1の戦略は「Chrome OS」で、これは「Chrome」ブラウザをオペレーティングシステム(OS)に変えることになる。同OSは、「Chromebook」と呼ばれる専用PCに搭載される。第2の戦略は「Chrome Web Store」で、これはChrome向けウェブアプリケーションの販路になる。ここでのChromeとは、Chrome OSと、別のOSで稼働する通常版のChromeブラウザの両方を指す。
かつてSun Microsystemsの最高技術責任者(CTO)やNovellの最高経営責任者(CEO)を歴任してきたSchmidt氏は、自身のキャリアを通じてプラットフォーム構築のスピードが加速するのを目の当たりにしてきた、と述べた。
「前は10年がかりで進んだことが、今は2年で起きる」とSchmidt氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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