「ソーシャルネットワーキング、アップロード機能、友達との対戦。こうしたことによって、ソーシャル的な要素が持続する」とLarsen氏は語る。Fruit Ninjaのケースでは、Halfbrickは「OpenFeint」とAppleの「Game Center」の両方を利用している。いずれもFruit Ninjaに組み込まれており、友人リストや対戦、リーダーボードなどの機能を実現する。
特にOpenFeintでは、Halfbrickはアプリケーション発見サービスを利用して、同社のほかのゲームをユーザーに紹介している。これはゲームのリンクと説明を載せたページにすぎないが、App Storeで探し回ったり、開発者のサイトにアクセスしたりしなくても手軽にそれらのタイトルにたどり着けるルートをユーザーに提供することができる。Halfbrickは、アップデートをユーザーに通知するためにもOpenFeintを使用している。アップデートはほぼ毎月1回のペースでリリースしており、新しいコンテンツを追加して、ユーザーの興味を再び刺激し、購入者がより多くのものを求めて何度も戻ってきたくなるようにしている。
これらはすべてゲームにとって効果的なことだが、ゲーム以外のアプリケーションはどうなのだろうか。注目すべき成功事例の1つが「Penultimate」だ。PenultimateはiPad向けのメモ帳アプリケーションで、2010年のリリース以来ランキング上位を維持している。開発者のBen Zotto氏が作ったソフトウェアで、iPadの標準メモアプリに足りない点を補うものだ。指やiPad用スタイラスを使って文字を書くことができ、iPadを大きなデジタルノートとして使うことができる。Zotto氏はこの点をPenultimateが成功した主な理由の1つに挙げている。
「ユーザーの問題を解決するものを売れば満足してもらえる。iPadは近未来的なデバイスであり、手書きの速さと便利さを職場と家庭の両方で復活させることができるものだ。多くの人がiPadをそのように使っているため、Penultimateの価値提案は大いに共感を得ることができた」。Zotto氏は先日の電話インタビューでこのように述べた。
今ではPenultimateの売り上げで生活できるようになったほか、事業拡大の余裕も生まれ、コミュニティー管理を担当する請負者やデザイン関係の仕事を人も雇っているという。
成功を収めたZotto氏は、iPad向けApp StoreがPenultimateの最初のリリース時と比べて大きく変わったこと、そして同アプリケーションが今日リリースされていたら同じ結果にはならなかった可能性が高いことを指摘した。「エコシステムのごく初期段階に参入していれば無料で販売促進をすることもできたが、そういったことはほとんどなくなってしまった。今はこの巨大なマーケットプレイスで従来型のマーケティングを行う必要がある。Appleがアプリケーションを紹介してくれることもあるかもしれないが、多くの場合は自分で宣伝活動を行わなければならない」(Zotto氏)
Zotto氏がこれまでの計画で中心に据えてきたのは、機能追加とバグフィックスのアップデートをタイミングよくリリースすることによって、ユーザーがまたアプリケーションを使う理由を与えることだという。ユーザーがアップデートの通知を見たとき、新しい機能や改善点の追加を期待できるように、その計画には細心の注意を払ったとZotto氏は語る。「バグフィックスのみのリリースは危険な領域であるということを、早い段階で学んだ。ただ誤解のないように言っておくが、仮にユーザーデータの喪失を引き起こすバグがあったとしたら、即座に修正するのは当然だ」(Zotto氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)