Appleが発表した「App Store」の新しいサブスクリプション(定期購読)サービスについては、批判の声があふれている一方で、大手メディア企業の幹部には、まだどう考えるべきか迷っている人もいる。
アプリケーションのパブリッシャーがiTunes App Store経由で定期購読の販売を初めてできるようにするというAppleの計画は、正しい方向への一歩だという声がある。同時に、アプリ販売に関するAppleの新しい要求事項の多くを、同社がオンラインメディアへの支配力を強めるための新たな手段だと見る人々もいる。このような要求事項には、パブリッシャーはApp Storeでの定期購読料が最低価格になるようにしなければならないといった規約などがある。
これほどさまざまな反響を呼んでいる理由として1つ考えられるのは、Appleがメディア界に、同社が提供予定のサービスについて準備をさせなかったことだ。確かに、Appleの定期購読サービスの発表は以前から予想されていたが、同社が米国のトップメディア企業数社から早い段階で意見を聞くということはなかったようだ。ある大手新聞社の幹部によれば、発表の日の午後、メディア業界のリーダーたちが集まって、その発表の重要性について検討したという。あるメディア複合企業のマネージャーは、たいていの会社なら公表前に大手パブリッシャーに説明して、反応を確かめたはずだと語った。しかし、Appleはそうしなかったようだ。
米国時間2月15日の発表で最も大きな影響を受けるのが、雑誌、新聞業界だ。2010年春に「iPad」が発売されて以来、Appleはほとんどの場合、アプリケーションを1号ずつしか販売できないようにしてきた。しかし、iPadやApp Storeが現実味のある選択肢なのかどうかを判断しなければならないのは、雑誌や新聞業界だけではない。
ウェブで最大の映画レンタルサービスNetflixや、米国進出を図る欧州の人気の音楽ストリーミングサービスSpotifyなどの企業は、App Storeで得たサブスクリプション料金の30%をAppleに支払わなければならなくなる可能性がある。とはいえ、Netflixの場合にはそう考えるのは難しそうだ。Netflixの配信ネットワークは、200種類以上のデバイスに広がっており、有料登録ユーザー数は2000万人を超えている。
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