NokiaとMicrosoftはモバイル市場で後戻りのできない提携関係を結んだ。これは大規模なテクノロジ企業合併の前兆となる出来事なのだろうか。
NokiaとMicrosoftの合併のうわさは2010年に広まり始めた。Microsoftの元幹部Stephen Elop氏が、苦境に陥っていたNokiaの最高経営責任者(CEO)に就任する前のことだ。Nokiaは少なくとも提携の可能性についてMicrosoftと話し合っているはずだと考える人は多かったが、英国時間2月11日午前にロンドンで発表された緊密な提携関係を予測した人は少なかった。
Elop氏とMicrosoftのSteve Ballmer氏は、Nokiaの投資家向け年次説明会での記者会見で、Nokiaが自社の「Symbian」OSと「MeeGo」OSを捨ててMicrosoftの「Windows Phone 7」を採用することを発表した。今後はWindows Phone 7がNokia製スマートフォンの主要OSになる。これは大胆な戦略であり、勢いを増すモバイル分野の競合Googleの「Android」やAppleに対抗することを目指すものだ。
Elop氏は記者会見で「この提携によって三つ巴の戦いが始まると考えている。NokiaとMicrosoftの双方にとっていいことだ。提携しない場合よりもはるかに速く動けるようになる」と述べている。
両社の提携は、単にMicrosoftのOSをNokiaの携帯電話にインストールするという合意にとどまるものではない。両社は製品とサービスの共同開発のほか、戦略的計画を共有することも計画している。その構想は、Appleの「iOS」プラットフォームとGoogleのAndroidプラットフォームに直接対抗できる「第3のエコシステム」を作り出すことだ。
両CEOが説明する提携関係は極めて緊密なものであるため、なぜ単純に合併を選択しなかったのか、という疑問が浮かんでくる。もしかすると、結婚に踏み切る前に同棲を試すカップルのように、事前の確認をしているのかもしれない。
将来的に両者の関係が合併によって成就するかどうかにかかわらず、NokiaとMicrosoftが近いうちに運命共同体になることは明白だ。一方が戦略の実行に失敗すれば、他方もその損失を被るだろう。投資家はそのことを快く思わないはずだ。
ほかの再販業者の提携と異なり、MicrosoftとNokiaは資産を統合し、マーケティングに共同で取り組む計画だ。さらに、開発計画を共有するとともに製品の共同開発も行う。
Microsoftの観点から見ると、同社はさまざまな製品群が可能にする幅広いソフトウェアの統合や、「Bing」検索機能、広告プラットフォームをもたらし、Nokiaはそれを同社のデバイス上で利用できるようになる。一方、世界最大のハンドセットメーカーであるNokiaは、ハードウェアに関する専門知識、極めて大規模な製造能力と販売網、課金における事業者との関係、地図およびナビゲーション事業のNAVTEQをもたらすことになる。
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