投資家や金融アナリストも自分が関心のある企業にこうしたことが起きると、少し神経質になることがある。特に、iPadのような比較的利益率の低い製品の機能が、それよりもはるかに利益率の高い製品、つまり「MacBook」の一部の機能(電子メール、ウェブブラウジング、TwitterやFacebookの閲覧など)を再現できる場合はなおさらだ。ここで、iPadはMacをどの程度「浸食」しているのか、という疑問が生まれる。換言すると、ユーザーは望んでいる機能の大半がiPadに搭載されていることを理由に、iPadをMacの代わりに購入しているのだろうか。
しかし、Appleが普通のデバイスメーカーと異なるのはそこだ。Appleは単なるハードウェア企業ではない。そしてiPad(「iPhone」と「iPod」も)は、Macには今のところ不可能な方法で、さらに多くの売り上げを得られるように設計されている。
マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院で経営学およびエンジニアリングシステムの教授を務めるMichael Cusumano氏は、「iPadは、Appleが作って市場に投入するだけという製品ではなく、プラットフォームである。したがって、売り上げを得る手段はほかにもある」と言う。
その手段の1つが「iTunes」だ。もちろん、大きな人気を集めている「App Store」と「iBookstore」もそうだし、将来的にiPadでの新聞や雑誌の購読が普及すれば、それも収益源になる可能性がある。
iTunesで販売されているようなデジタルコンテンツは、利幅が「極めて大きい」とCusumano氏は言う。「純然たるデジタル商品だからだ。したがって、製品の粗利益率だけを見ても、Appleが採用した全体的なビジネスモデルを理解することはできない」(Cusumano氏)
そのため、Macは1台当たりの売り上げは多いかもしれないが、ユーザーがほかのアイテムにiPadと同じくらい多くのお金を使ってくれることは見込めない。もちろん、MacにもiTunesはあるが、iPadやiPhoneのように、ユーザーが複数のアプリケーションを購入したり電子書籍を閲覧したりしたいという気持ちを抱くことはない。少なくとも、今のところはそうはなっていない。
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