しかし製造に関しては、AppleもDellやHPといった企業と同様に、主要製品を海外で作っている。これらの企業はいずれも過去に米国内でコンピュータを製造していたことがある。HPが2001年に買収したCompaqは、長い間ヒューストンでPCを製造し、回路基板もそこで作っていた。Appleはかつて自社のコンピュータを米国内で組み立てていた。Jobs氏が以前トップを務めていたNeXTは80年代後半、鳴り物入りでカリフォルニア州フレモントにハイテク工場を開設した。そしてIBMは、PC事業から撤退する前、ノースカロライナ州でPCを組み立てていた。
この点に関しては、発言ではなく実際の行動によって企業を判断することが重要だとGrove氏は言う。
問題なのは、その行動を抑制する政府の政策や優遇策がないため、企業の意思にすべてが委ねられていることだとGrove氏は語る。「基本的に、わたしは決断を任されていた。米国のすべてのCEOが、自社にとって何がいいことなのかを決めることができる。米国はえこひいきをしたり、優先順位を付けたり、方向性を示したりしないからだ。一方でわれわれは、米国に猛攻をかける極めて効率的な国(中国)と競争している。わたしは彼らを責めはしない。わたしは自分たちを責める」(Grove氏)。同氏によると、「自主創新(indigenous innovation)」というような意味に翻訳される中国語のフレーズが、それを如実に物語っており、「現状を象徴的に表す言葉だ」という。
Grove氏は、米国企業は「見えざる手に従っている。その結果米国は、黒い渦巻きを追いかけて深海まで行ってしまっている」と続ける。米国企業は「自社にとって最善の結果を追い求めているだけだ」という。
では、どうすればこの問題を解決できるのだろうか。Grove氏は、製品を設計から製造まで進めていくプロセスに言及し、次のように述べた。「その一連のプロセスを国外に移したいという衝動を抑制する政策、あるいは軽減する政策を考えなければならない。政府内の誰かが、集中的な批判を招くほどのリスクを伴う対策を(講じる必要がある)。政府が積極的にそういうことをしない限り、政府がこの問題を真剣に捉えているとは思えない」
米国内で開発と製造を行うことは決して不可能ではない。Intelの製造およびサプライチェーン担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるBrian Krzanich氏は、Grove氏と同じ思いを口にした。「(Intelの)各工場には高度なトレーニングを受け、高度な技術を備えたエンジニアが1000人〜2000人いる。ラボで製品を開発し、それを大量生産できる段階に達するまでには、かなりの革新が必要となる」(Krzanich氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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