Googleは、Adobe Systemの「Flash」の重要な機能を数多く再現できる一連のウェブテクノロジを、最も強力に推進する企業の1社だが、YouTubeではまだ政権交代の時期ではない。
策定中のHTML5標準で最も重要な部分の1つは、動画再生のサポートだ。これによって、「Flash Player」などのプラグインを必要とせずに、動画をウェブページに直接埋め込むことが可能になる。書式設定を行うCascading Style Sheets(CSS)や、Scalable Vector Graphics(SVG)、フォント設定のWeb Open Font Format(WOFF)など、ほかのオープンスタンダードでFlashの機能を模倣することは可能だ。しかしFlashではストリーミング動画を複数のブラウザに表示できる。このことはFlashが現行製品としての優位性を獲得している主な理由の1つだ。
YouTubeのプログラマーのJohn Harding氏は、米国時間6月29日のブログ記事に、「HTML5の動画サポートによって、YouTubeのコンテンツや機能の大部分を、Flash Player未対応のコンピュータやそのほかのデバイスで利用できるようになる。しかし、HTML5はまだわれわれのニーズのすべてに応えられるわけではない。Adobe Flashは現在、YouTubeの動画配信の要件に最も適したプラットフォームを提供している。YouTubeのメインの動画プレーヤーがFlashを採用しているのはそのためだ」と記している。
Googleは1月、一部のYouTube動画でHTML5による再生を開始したが、このプログラムはまだ試験運用段階だ。
ウェブテクノロジがもたらす脅威や、Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏によるFlash非難の発言をよそに、Adobeは、Flashが重要なものであり続けるように熱心に取り組んでいる。同社はFlash Playerをモバイルデバイスでも使用できるようにする大がかりな取り組みを始めたばかりだ。モバイル分野ではFlash Playerは無名に近い。最初にサポートしたOSはGoogleの「Android」だ。
AdobeとGoogleの間でFlashの支援に関して密接な連携が行われているのは明らかだ。その意図の一部には、Appleが「iPhone」からFlashを排除したことを、ユーザーやウェブ開発者の不利益となる誤った行為に見せようということがあるのだろう。
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