しかし、政治的なことばかりではない。YouTubeの場合、Flashを前面に出しているのには、技術面での真の理由がある。
HTML5動画の妨げになっているのは一体何なのだろうか。
Harding氏が一番に挙げているのは、ブラウザメーカーがHTML5向けのビデオエンコーディング技術、つまりコーデックを統一していないことだ。「Safari」「Chrome」「Internet Explorer 9 Platform Preview」は「H.264」と呼ばれるコーデックをサポートしている。一方、Mozilla FoundationやOpera、「Google Chrome」は、Googleによる新しいロイヤリティーフリーのコーデック「WebM」をサポートする計画だ。「すべてのブラウザに、1つの標準ビデオフォーマットをサポートしてもらいたい」(Harding氏)
WebMには、その標準フォーマットになるチャンスがある。
World Wide Web Consortium(W3C)でHTML5、CSS、SVGなどのウェブ標準の取り組みを主導するPhilippe Le Hegaret氏は、先々週行われたインタビューで、「われわれは、HTML5にロイヤリティーフリーのビデオフォーマットを求めている。WebMは有力な候補だと思われる」と語った。しかし、MozillaとGoogleが支持していることを前提に、WebMが標準となる可能性について聞かれると、「あらゆる当事者から合意が得られれば、その可能性はある。しかし現時点ではMozillaとGoogleだけで済む問題ではない」と答えた。
再生が問題の1つだが、Googleはすでに、自社のインフラストラクチャでのデュアルコーデック対応への資金投入を決めている。2007年以来、同社はすべての動画をH.264フォーマットで保存していた。しかし、WebMを発表した5月19日以降は、720p以上のハイビジョン動画はすべて、WebMでも保存するようにしている。YouTubeには1分間に24時間分のペースで動画がアップロードされていること、そして高解像度動画の利用が増加していることを考えれば、これは大きな投資のはずだ。
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