Lih氏はまた、中国のウェブサーファーはパフォーマンスが不安定なことに慣れており、特定のサイトへアクセスできない理由をはっきりと分かっていない可能性もあると述べ、大半のユーザーはサイトへのアクセスが困難な場合、簡単にあきらめて別のサイトへ移ってしまう、と付け加えた。
その一方で、ポータルサイトのようなインターネットコンテンツプロバイダーは営業に免許が必要であり、コンテンツが政府の禁止事項に抵触しないように監視する人員を雇うことが義務づけられている。こうしたサイトは自社を検閲する責任を負っているが、もっと直接的な形の抑圧もある。Lih氏によると、例えば、当局はコンテンツプロバイダーサイト内の管理者にテキストメッセージを送信して、どの話題が禁止されているかを通達することがあるという。
報道によれば、中国政府当局者はあらゆるウェブサイトの所有者に身分証明書と写真の提出を求める新しいガイドラインの策定に取り組んでおり、国内のすべてのサイトをより効率的に監視しようとしているという。
中国の政府当局者は、規則を回避しようとしている疑いのある人々に対し、オンラインメッセージで警告する場合と同様に、オフラインでも遠回しに警告を伝える。「違反をしても、すぐに逮捕されることはめったにない。違反者に対し、自分が追跡されていることをはっきりと分からせるなどして、違反者の行動を容認しないということを時間をかけて通達する。違反者のドアを蹴破る前に、小さな警告を何度も送る」(Lih氏)
インターネットトラフィックを監視したり、プロバイダーが表示するコンテンツを制限したりするだけでは十分ではないかのように、中国当局は先ごろ、ユーザーのコンピュータにフィルタリングソフトウェアをインストールすることを義務づけようとした。しかし、いわゆる「Green Dam」ソフトウェアイニシアチブにはセキュリティホールが存在し、コンピュータがハッキングされるおそれがあるとの苦情を研究者から受けて、当局は2009年にこの取り組みを中止した。
「中国インターネットというクラウド上での検閲と、すべてのキー入力が監視される可能性もあるソフトウェアをコンピュータにインストールすることは別問題だ。政府が検閲を行い、(表向きは)社会正義を擁護することを容認するような人々にとっても、後者は極めて大きな問題だった」(Lih氏)
インターネットカフェは身分証明書の提示を求め、誰がインターネットにアクセスしているかを追跡しなければならないことになっているが、実際にそれをしているカフェはほとんどない。それ以外にも、一定の匿名性を確保できるオープンなWi-Fiホットスポットがたくさんある、とLih氏は付け加えた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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