2010年のSouth by Southwest Interactive(SXSWi)フェスティバルが近づいていたころ、競争好きでライバル関係にある2社の新興企業foursquareとGowallaが大きな注目を集めていた。両社とも、テキサス州オースティンで開催されたこのにぎやかなデジタル文化イベントを、戦略的な活動の場にしようとしていた。モバイル端末上のGPSを使って自分の近くの場所に「チェックイン」し、それを友人に知らせるという、ロケーションベースのソーシャルネットワーキングで、両社は一番話題の新興企業であり、どちらも相手には負けたくないと思っている。
しかし、実際のジオロケーション戦争では、こうした新興企業はおもちゃの兵隊にすぎないのかもしれない。ジオロケーションは企業にとって魅力的なデジタルトレンドであり、TwitterやYelpなどのかなり大きいシリコンバレー企業から、FacebookやGoogleといった真の巨大ウェブ企業まで、はるかに大規模な企業も参入したいと考えている。SXSWi(Twitterが爆発的な第一歩を刻んだ場所でもある)というマニア向けの小宇宙では、foursquareやGowalla、さらに最近登場した同業者たちが中心になったかもしれないが、このイベントが終わったとき、こうした企業は厳しい現実の試練を受けるのかもしれない。
「世界は大きく変化した」。ニューヨークを拠点とする地図プラットフォームの新興企業Socialightの創立者Dan Melinger氏はこう語る。Socialightの創業は2005年にさかのぼる。「Google Maps」がベータ版を脱し、携帯電話のGPSが高価なぜいたく品となるより前のことだ。SXSWiの直前に、Socialightは、企業が自社ブランドの「ジオ」アプリを構築するための製品として再出発した。「この戦争は、GoogleとFacebook、Appleの間のものになると考えている」(Melinger氏)
現在のところ、立て続けに登場するジオロケーションの新興企業にとって、Appleが競争相手になるという兆候は見られない。しかしGoogleの新サービス「Google Buzz」では、すでにユーザーがステータスメッセージに自分の位置情報の「ジオタグ」をつけられるようになっている。同サービスはまだ軽視すべきものではなく、FacebookやTwitterが生み出したリアルタイムチャットの流行に、Googleが割って入る道を開くものだ。「Google Latitude」プロジェクトは公開されて1年以上たつが、これには何かが怪しく眠っている。あたかも、Googleがいつでもすぐにジオロケーションの原動力とすることのできる休火山であるかのようだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」