Twitterマーケティングの支援をする企業もいくつか出てきている。例えばCGMマーケティングは「Twitterマーケティングパッケージ」として、Twitter活用の企画立案からアカウント作成(フォロワー数制限解除)、運用支援までをパッケージにして販売している。アカウント開設が1アカウント10万円、キャンペーン支援が50万円からとなっており、9月には運用支援ツールも提供する考えだ。
また、モディファイはグランドデザイン&カンパニーと組んで、Twitterを中心としたソーシャルメディアの活用法についてコンサルティングサービスを開始している。初期費用にあたるコンサルティング料が105万円からで、システム利用料は月額10万5000円。
日本ではまだ企業の活用が始まったばかりだが、米国では成功例もいくつか出てきている。最も有名な事例の1つが米Dellだ。クーリングオフ期間中の開封済みの返品製品などを販売する「Dell Outlet」のセール情報をTwitterで流すことで、300万ドル以上を売り上げることに成功したという。
ただ、Twitterには課題もある。たとえば急増するユーザー数にシステムが追いつかず、度々ダウンしてはユーザーを悩ませてきた。現在はシステム稼働率が過去半年間の平均で99.7%と改善が進んでいるが、大統領選挙やスーパーボウルのような大規模のイベントがあると投稿が殺到し、遅延を起こしてしまう。
信頼性という観点からは、ユーザーのなりすましというリスクもある。Twitterのアカウントはメールアドレスを入力すれば誰でも取得できてしまうため、有名人や大企業に別人がなりすましてつぶやくこともできてしまう。実際、日本でもサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏がアカウントを開設されてしまう例などがあった。
Twitterはこの対策として「Verified Accounts」という認証済みアカウントを開始しており、ミュージシャンの坂本龍一さんやオノ・ヨーコさん、米ホワイトハウスなどが採用している。Twitterは年内にも、企業向けに認証アカウントを発行する考えを示している。
また、セキュリティの問題もある。Twitterでは文字数を少なくするために投稿されたURLを短いものに書き換える措置をしており、ユーザーが気づかずにフィッシングサイトや悪意あるサイトに誘導されてしまう恐れがある。
8月にはユーザーの友人(フォロワー)に対して無差別にダイレクトメッセージを送りつける「MobsterWorld」というサービスがスパムだとして問題になった。このMobsterWorldはまず、友人からのダイレクトメッセージとして招待状をユーザーに送る。そのリンクをユーザーがクリックし、「アカウント情報に接続します」というコメントに対して「許可」というボタンを押すと、そのユーザーの友人全員にMobsterWorldへの招待メッセージを勝手に送りつけてしまう。これは、Twitterのアカウントと第三者が開発したアプリケーションをつなぐ「OAuth」という仕組みを悪用したもので、Twitterでもこの問題を把握しており、解決に向けて作業中としている。
ビジネスで使う上では、Twitter自身の経営安定性も気になるところ。Twitterは「ビジネスモデルは研究段階」としており、現在はさまざまな収益源を模索中だ。広告収入やVerified Accountsの開設はその1つの柱になると期待されている。
Twitter自身はこれまでにベンチャーキャピタルなどから計3回、合計5500万ドルを調達しており、当面はこの資金を活用してビジネスをしていくようだ。
ユーザー数については順調に伸びているものの、「Twitterは若者に利用されていない」というリサーチ結果が米国で発表されるなど、今後の拡大を懸念する声もある。日本でもmixiが「mixiエコー」、モバゲータウンが「おたけび」という同様のサービスを開始している。また、日本では10代を中心に、メールを使って日々の出来事やいまの気持ちをどんどん書き込んでいく「リアル」というサービスが普及している。これらの競合サービスとどう戦っていくかが、国内でのさらなるユーザー拡大の鍵になるだろう。
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