MicrosoftのSteve Ballmer氏と米YahooのCarol Bartz氏は米国時間7月29日、巨大な紫色のペンの何筆かで、ついに提携を結んだ。これによって、Microsoftは世界第2位の検索サービス企業になり、Yahooはメディア主導の広告ブローカーになる。
以下は、各キープレーヤーの観点から見た、今回の提携の分析だ。
得るもの:Yahooは、アウトソーシングした検索エンジンに、市場価格以下の金額を払うことになる。MicrosoftはYahooに対して、将来の検索事業収入の88%を支払うことになっており、IDCによれば、これは予想されていたよりも良い提携の提案だという。Yahooは、18カ月の間、検索からの継続的な売り上げを保証される。また、YahooとMicrosoft両方のサイト上にある検索広告をすべて販売できるようになる。さらに、Yahooはコストを削減できる。これは、Bartz氏と、Yahooの新しい最高財務責任者(CFO)であるTim Morse氏にとっては、最優先事項の1つだ。同社は2億ドルの資本支出を節約し、営業利益は合計5億ドルになると見積もっている。
失うもの:検索はいまだに、利幅が大きく、オンライン広告では最ももうけになる分野だが、Yahooは検索に関して自分自身の運命をコントロールできなくなる。Yahooの検索からの売り上げは、今後10年間、「Bing」の性能に左右される。インターネットの世界では、10年は非常に長い時間だ。そして何かの88%というのは、何かの100%よりも少ない。
次に起こること:才能のある検索技術者が、Microsoft、Google、Ask.com、そして新興企業といった選択肢を比べるようになって、組織再編と人材流出の波が再び起こるかもしれない。Bartz氏がこの提携によるコスト削減を指摘できるような、バラ色の収支報告を期待したい。また、同社が事業を投げ売りせずに長期計画を展開することを望む。
得るもの:MicrosoftがBingの自然な成長から(人々がBingをどの程度気に入ろうが)数年間かけて獲得したいと願っていた検索市場シェアよりも、はるかに多いシェアを1日にして得ることができる。また、Yahooの検索技術のすべてを利用できるようになり、Bingで使いたいと思うものがあれば選び取ることができる。Microsoftはまた、Yahoo検索を勢力下に置くために、前金を支払わざるを得ない状況を回避した。それは、提携を結ぶまでの数カ月間にうわさされていたことで、Bartz氏自身もそれをほのめかして、Yahoo検索をYahooから引き離すには「船いっぱいの金」が必要だろうと言っていた。
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