ビデオオンデマンド新企業ZillionTV--サブスクリプション不要で狙う視聴者獲得 - (page 3)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年03月19日 07時30分

 しかし、ZillionTVのビジネスモデルには疑問に思われる点がある。同社はサービスをブロードバンドサービスプロバイダーを通じて販売する計画だが、ブロードバンドサービスプロバイダーの多くが、同様に自社独自のサブスクリプションテレビサービスを販売している。そのようなサービスプロバイダーはZillionTVを脅威と感じないのだろうか。

 Gauthier氏は、サービスプロバイダーにとってZillionTVと協業するインセンティブはいくつもあると説明する。テレビサービスにはより高速なブロードバンド接続が必要となり、それがサービスプロバイダーの売り上げにつながることに加えて、ZillionTVはコンテンツからの広告とトランザクションの売り上げをブロードバンドプロバイダーとの間で直接分配することも計画しているという。

 それと引き換えに、ZillionTVはサービス提供のための専用帯域幅の割り当てを受けて、最高水準の品質を確保する。このようにして、ZillionTVは、Hulu.com、Netflixのオンラインサービス、AmazonのVideo on Demandサービスといったほかの「上限を超えてしまう」オンラインビデオサービスとの差別化を図る。これらのサービスは公共のインターネットを利用しているため、ネットワークの混雑による影響を受ける可能性がある。しかしZillionTVはブロードバンドプロバイダーを通じてサービスを提供することにより、専用帯域幅の割り当てを受けられるようにするため、優れたサービス品質を確保できる、とGauthier氏は説明する。

 では、課題はどこにあるのか。現時点では、ZillionTVはコンテンツサービスを完成させて、サービスプロバイダーと契約する必要がある。好調なスタートを切ったように見えても、これらのパズルのピースを組み合わせることは容易ではない。

 Gauthier氏は、同社が米国内のすべての大手ブロードバンドプロバイダーと協議中であると述べたが、どのプロバイダーと協業するかについては明かそうとしなかった。筆者としては、VerizonやComcastといった巨大企業は、ZillionTVとの協業を拒否する可能性が高いと推測している。

 Verizonは、巨額の費用を投じて自社の「FiOS TV」サービスを構築中だ。Comcastは、コンテンツ所有者と直接協業して、2009年にオンライン・ビデオ・オンデマンド・サービスの展開を開始する計画であることをすでに公表している。Comcastの広報担当者は、このサービスがどのような仕組みで提供されるのかについてまだ話す段階ではないとしながらも、少なくとも当初は、Comcastのサブスクリプションテレビサービスに取って代わるサービスではなく、その延長として提供される可能性が高いと述べている。

 米国の景気後退が深刻化する中、ZillionTVのサービスは、すでにサブスクリプションテレビ契約の解約を検討し始めているコンシューマーにとって、もう1つの選択肢となる可能性がある。だが、ウェブビデオをテレビに配信するための新しいオプションは、毎週のようにどこかで発表されているように思われる。今後数年は注目していく価値のある興味深い市場には違いない。

 ZillionTV 提供:ZillionTV

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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