退任するインテルのバレット会長--チップ製造の功績と未完の遺産

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年01月29日 07時30分

 Intel会長のCraig Barrett氏が5月に正式に退任したら、雪解けで川の水かさが増すモンタナ州へ直行する可能性はかなり高い。

 3年前までIntelの第4代最高経営責任者(CEO)を務めていたBarrett氏は釣り好きであり、世に知られた最も複雑な構造の開発方法について語るときも、毛針を作る最善の方法について話すときと同じように落ち着いた様子だ。世界最大のチップメーカーであるIntelは米国時間1月23日、Barrett氏が同社会長の座を退く予定であると発表した。Barrett氏は3年前、現在のCEOであるPaul Otellini氏にCEO職を引き継いでいた。

画像の説明 Intel会長Craig Barrett氏
提供:Intel

 Barrett氏の遺産は功罪相半ばする。IntelはBarrett氏の指揮の下で、世界有数のチップメーカーとしての評判を確固たるものにした。Intelは、業界で羨望を集める最先端「ファブ」の世界的なネットワークを運営しており、1970年代から80年代にIntelのチップ製造方法を確立させたとして高い評価を得ているBarrett氏は、このファブのネットワークを大きな誇りとしている。

 その一方で、Intelは研究開発と買収に何十億ドルも費やしたにもかかわらず、PC業界やサーバ業界での揺るぎない地位を、家電や通信などのほかの市場での際立った存在へと転換させることに失敗した。そのため、PCとサーバが成長率の低い商品になるにつれ、Intelが大問題に直面する可能性がある。Intelが対象市場を拡大して回避しようとしていたのは、まさにそのような事態だった。

 Intelには長年不調にあえいでいた時期があったが、世界的な経済状況が主な原因で、Intelは現在そのときと同じくらい厳しい状態にある。Barrett氏はそうした時期に同社を去ろうとしている。しかし、前回Intelが同じように不調であったときには、Barrett氏はCEOとしてIntelに恐らく最も貢献した。

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