Advanced Micro Devices(AMD)は、サーバ向けプロセッサ「Barcelona」の大量出荷を、バグが発見されたために延期せざるを得なくなることを認めた。
AMDの初のサーバ向け4コアプロセッサであるBarcelonaは、ハイパフォーマンスコンピューティング市場の一部の顧客に出荷されている。しかし、AMDは12月により広範囲な顧客に向けて出荷を開始するとともに、Intelの最新の「Penryn」チップに対抗できる、より高速なモデルを導入する意向だった。
しかしAMDにとって不運なことに、大量出荷は延期を余儀なくされると同社の広報担当者は述べている。AMDが遭遇した問題についてはThe Tech Reportが詳細に説明している。それはキャッシュメモリで使用されているトランスレーションルックアサイドバッファの問題で、デスクトップ向けプロセッサ「Phenom」でもAMDはこの問題に直面している。筆者はここでその意味を厳密に説明するつもりはないが、詳細な調査報告についてはThe Tech ReportのScott Wasson氏の記事を参照してほしい。しかし少なくとも、Barcelonaの表舞台への登場が再び遅れることは確かだ。
たとえAMDがこのエラッタの回避手法を開発済みだとしても、同社にとっては大変な状況だ。どのチップメーカーでも新しいプロセッサの出荷時にはエラッタ(新しいOSリリース時に発生するバグのようなものと考えて欲しい)に遭遇する。そのほとんどはささいな問題であり、リリース後に簡単なコードの更新によって極めて迅速に修正できる。しかし、今回のエラッタはかなりの作業が必要とされ、遅れが避けられなくなった。とはいえ大惨事というほどでは全くなく、AMDがチップをリコールするというような事態にはなっていない。
問題はむしろ、AMDの製品出荷能力への信頼性にかかわるものである。Barcelonaが実際に2008年第1四半期に本格的に出荷されるころには、当初のリリース予定時期から1年近くが経過していることになる。AMDは会社の意気を高揚させる材料としてだけでなく、利益をもたらしてくれる原動力としてBarcelonaを必要としている。サーバ用プロセッサはPC用プロセッサよりもはるかに利幅が大きいからだ。
一方、Intelもエンジンを全開にしている。同社の第2世代「Penryn」4コアプロセッサはサーバベンダーから、またNeweggなどの企業からスタンドアロンボックス入りで購入できる。そして「Nehalem」と呼ばれる次世代のプロセッサでは、AMDのプロセッサを過去数年間の成功に導いたものと同じような設計技法が用いられる予定である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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