ITバブル崩壊後の不景気な時期に、Intelはチップ製造工場のことをかなり懸念していた。業界ではファブとして知られるチップ製造工場は、建設と維持に途方もなく費用がかかるため、利益を得るには非常に高い生産量でファブを稼動させる必要がある。PCの需要がNASDAQ総合指数よりも急速に低下する中、新しいファブや製造技術に何十億ドルも投資する計画の中止を考えるべきだとの意見がIntelの内外にはかなりあった。
しかし、Barrett氏はそれに反対した。同氏の意見は重要だった。計画を続行し、製造業務に資金をつぎ込むというBarrett氏の決定の結果、PCの需要回復後にはIntelは断然有利な立場になった。PCメーカーは、十分な生産能力と製造知識を持つIntelからチップの大半を入手しなければならなくなったからだ。
しかし、Intelはその戦略に着手する一方で、中核事業の重要な点から目をそらしてしまった。同社の売り上げの大半を占めていた「Pentium 4」プロセッサと「Xeon」プロセッサの中核である「NetBurst」アーキテクチャの審判の時はすぐにやってきた。
簡単に言えば、NetBurstには動作中に熱くなりすぎるという問題があった。このアーキテクチャは、チップのクロック速度を新たな高みに引き上げることができるように設計されていた。Intelのマーケティング担当者は、クロック速度こそが一般ユーザーが理解するプロセッサパフォーマンスの唯一の測定基準であると考えていた。
しかし、チップの速度が上がるほど、熱が発生する。IntelはPentium 4のアーキテクチャを10GHzにすると言っていたことがあったが、電力消費と放熱に対する懸念があったため、チップの最高速度は4GHz未満となった。この現実に直面したIntelは、速度が遅く、消費電力の少ない2つのコアにワークロードを分散する、マルチコア処理戦略を立てざるを得なくなった。
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