最後に、「Amazon Web Services」には大きなチャンスがあるが、2012年までの売り上げは大きなものではないだろう。Lindsay氏は次のように記している。
Amazonには、インフラストラクチャサービス(例:Elastic Compute Cloud(EC2)、「SimpleDB」、「CloudFront」、「Simple Queue Service」)、支払および課金サービス(「Amazon Flexible Payments Service」および「Amazon DevPay」)、オンデマンドワークフォースサービス(例:「Mechanical Turk」)、およびウェブ検索(例:「Alexa Web Search Services」および「Alexa Web Information Services」)など、確認できるサービスが約20あり、S3はその1つだが、現在の構成では、2012年までに年間5000万ドルを売り上げることさえ難しいと考えている。これを2008年には190億ドル、2012年までにはおよそ300億ドルに達すると見込まれているAmazonの小売売上高と比べてみてほしい。
以下はLindsay氏が作成したS3の売り上げの推定見積であり、Amazonの損益計算書では、Webサービスや「Kindle」などを含め、「その他」のカテゴリにまとめて計上されている。
Lindsay氏は、Amazonは「ハードな」(確固たる)利益ではなく「ソフトな」(柔軟な)メリットのためにWebサービスを進めていると推測している。
つまり、WebサービスはAmazonにとって大きな成長や収益源ではないと考える。その代わりWebサービスがもたらすのは、単なるオンライン小売業者ではなく、「テクノロジ」企業としてのAmazonのPR面での位置づけといったメリットである。また、Webサービスがなければショッピングプラットフォームの開発だけにかかわっていたであろうAmazonのデベロッパーたちに興味深いプロジェクトを提供することになる。そのため、AmazonはeBayなどの競合企業に比べ、質の高いエンジニアを集めることができるとわれわれは考えている。
この最後のポイントは、特に筆者のようにAmazon Web Servicesに関心が深い人間にとっては非常に興味深いことである。AmazonがWebサービスに進出した動機についてじっくりと考えれば、「なるほど」と思うはずである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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