前回までのコラムでインターネット広告キャンペーンを成功させるためのメディアプランに対する様々な要素を説明してきました。
今回はいよいよ具体的なメディア詳細プランについてお話したいと思います。
広告プロモーションを展開するメディアサイトを選び出す場合、すでに2つの方法を過去にお話ししていると思います(1.ターゲット分析によるターゲットの接触状況、2.競合分析による競合の使用状況)。通常これらの分析データから、ある程度のメディアサイトが選出されます。
この際、注意点はメディアサイトをいきなり「点」で考えるのでなく、一度「カテゴリ」単位で考えることが重要です。単純にターゲット分析や競合分析より上がってきたサイトだけで考える場合どうしてもプランに広がりがなくなります。
その際は同じなような特性を持つサイトをカテゴリとして捉えるとメディア選択が広がりますし、何よりも一度カテゴリとして抽象化することで、サイト1つ1つの状況にフラフラすること無く全体のプランの“Rationale(考え方)”に筋を通すわけです。
例えばデータ上「asahi.com」がターゲット分析/競合分析上ふさわしいサイトとして上がってきた時、同系統のニュースサイトである「Yomiuri online」はどうなのか。「Mainichi.jp」、「Sankei web」も可能性があるのではないかと考えます。
先述のターゲット分析、競合分析による質的要素(優先順位は通常ターゲット含有数の大小、ターゲット含有率の大小、サイトの持つコンテンツが対象企業ブランド/プロダクトに適しているかなど)、コスト要素(コストパーや、特別な値引き)、バイイング要素(ふさわしい時期に満稿により買えないものは削除)を鑑み優先順位をつけていくこととなります。
例えば、同カテゴリでサイトAはCPM ¥1000(1000回露出ごとのコスト)であるのに対し、サイトBの通常広告露出コストは¥3000であった時、サイトBはサイトAに対し3倍の価値があるべきであると考えます。このコストの差に質的な要素を加え、最終的に順位付けすることになります。
そして、具体的に一つのサイトにおいて最適な投下量を決定します。これはなかなか難しい作業です。よく海外の企業などは出稿の際に選択されたサイトにおいて、自社の広告がどの程度の広告SOV(Share of Voice)を獲得できるかを質問されますし、またよくバナー広告を出稿しているのになかなか対象広告と接触できないのはなぜだ? と尋ねられるクライアントがいます。
もちろん、予算に余裕があればサイトにおける占有度を上げることは大事です。それでは限られた予算の中でどの程度1つのサイトに投下すればよいのでしょうか。私はその際に「露出感」というものを考慮します。
これは少々非科学的な考え方ですが、“広告を認識するのにある程度の頻度を必要とする。一方で、一定量を超えると、効率が落ちる”という考えに即していて(これは、既存マス媒体での効率的なフリークエンシーは幾らか?という長い議論のある命題と非常に似ています)、具体的なデータが存在しない以上、サイトオーディエンスに立った感覚が非常に大事だということです。
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