2006年6月に「Parallels Desktop」がリリースされたとき、無数のAppleユーザーがMacオペレーティングシステムとWindowsを同時に動かすことが可能になった。
この製品は同時に、一般の多くの人たちに「デスクトップ仮想化」という概念を紹介した。
仮想化は最近まで、主にサーバが中心であった。1台のサーバで多数のサーバの役割を果たすことができるなら、費用対効果の程は明らかである。
仮想化テクノロジの最も一般的な用途は、今もWindows-on-Mac(MacでWindowsを動かすこと)である。しかしデスクトップ仮想化は今後、新しい分野へと拡大することが予想される。
これまでのところ、デスクトップ仮想化に予想される新分野の多くは企業向けである。具体的には、デスクトップで最新のオペレーティングシステムを稼動させる一方で、より安全な環境を提供するか、あるいは古いオペレーティングシステムでなければ動作しないような古い社内開発ソフトウェアを動かすことなどが企業の狙いである。また、バーチャルマシンが十分にバックアップされていることが前提だが、仮想化は災害復旧の点からもメリットがある。
デスクトップ仮想化を実現するには、主に2つの方法がある。1つは、複数のオペレーティングシステムを1台のPCで動かす方法である。そしてもう1つは、1つ以上のオペレーティングシステムをリモートサーバ上で動かし、デスクトップを使って他のオペレーティングシステムにトンネルする方法である。Microsoftの「Remote Display Protocol(RDP)」などのテクノロジは、キーストロークとマウス操作をサーバに送り、画面表示をユーザーに送り返す。
VMwareは、これら2つのデスクトップ仮想化アプローチに対応するテクノロジを提供している。VMwareの「Virtual Desktop Infrastructure」はサーバ型アプローチを採用している。それ以外にデスクトップ上で直接処理を行う2つの製品がある。1つはパワーユーザー向け、もう1つはオフィスでPCを使う標準的なユーザー向けである。
VMwareのワークステーション製品は、ソフトウェアパッチを社内全体に配布する前にテストしたいと考える運用管理者などのパワーユーザー向けに調整されている。このように説明してくれたのは、VMwareのエンタープライズデスクトップソフトウェア担当シニアディレクターのJerry Chen氏である。Chen氏自身も3台のバーチャルマシンを使い分け、1台は仕事用、もう1台は自宅用、そして最後の1台はSlingboxビデオプレーヤーに使っている。
標準的なユーザー向けの製品を使えば、企業の運用管理者はデスクトップソフトウェアに厳重な制限を加えたうえでユーザーが使用できるようにすることができる。たとえば慎重な配慮が必要なデータを扱う場合は、プリンタやフラッシュメモリドライブの使用を禁止することも可能だ。ユーザーがバーチャルマシンをフラッシュドライブに詰め込んで、別のPCで仕事を続けることもできる。ただしその場合は、バーチャルマシンを動かすことのできるコンピュータであることが前提となる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス