理論上は、たとえばオペレーティングシステムから完全に分離されていて安全が確保されているバーチャルマシンを使って、オンラインバンキングの申し込み作業ができれば便利である。しかしNeil氏によると、メモリの要件を考えると現時点では非実用的であるという。
「実現するにはかなり大きな負担が必要だ」(Neil氏)
VMwareはバーチャルマシンの新規インストール作業を簡素化しようとしている。2007年9月の第2週に、VMwareは「インスタントオン」ストリーミングテクノロジのデモンストレーションを行った。製品のごく一部分をダウンロードしただけで、410MBのバーチャルマシンが始動した。
一方では、サーバ型バーチャルデスクトップは必ずしも通常のPCと完全に入れ替え可能というわけではない。たとえばMicrosoftのRDPは、現在はオーディオ機能をサポートしていない。そのため、ユーザーは仕事中にYouTubeのビデオを視聴できない。これは企業のIT部門にとっては朗報だが、オーディオ機能のサポートはWebcastsやInternet電話による会話などの仕事のタスクにも重要である。
Frank Sabatelli氏は、サーバ上で動くバーチャルデスクトップを大いに活用している一人である。金融サービス企業iQorのバーチャルエンジニアリング担当バイスプレジデントであるSabatelli氏は、クレジットカード会社などの同社クライアントに提供するコールセンターサービスのために、数百台のPCを備えた新しいオフィスをいくつも開設しなければならない。
「現場の技術者が500台か600台のマシンを再配置するのに2週間はかかっただろう」が、それでは競合他社に遅れをとってしまう。Sabatelli氏は、2007年9月11日にサンフランシスコで開催されたVMworldショーの公開ディスカッションでそのように述べた。VMwareのバーチャルデスクトップソフトウェアを使用すれば、このようなオフィスの準備は48時間で完了する。「マシン1台当たり8分以下で作業できた計算になる」とSabatelli氏は語った。
バーチャルデスクトップには1つ厄介な問題がある。それはソフトウェアの使用許諾、特にWindowsの使用許諾である。複数のバーチャルマシンにインストールできるのはWindowsの一部のバージョンに限られ、それでもなお、バーチャルマシンを1つのマシンから別のマシンに移動する場合は厄介な問題がいくつも生じる。
「Windowsの使用許諾を研究したら、たぶん博士号がとれるだろう」。この問題を考えなければならないあるエグゼクティブはそんな冗談を口にした。
ブログ監視サイトTechnoratiのウェブ開発者であるMatt Levine氏によれば、同社はParallelsの製品とVMwareのライバルFusionの製品を広範囲にわたって使用し、サイトのテストを行っている。「おかげで我々は、ユーザーが利用するさまざまなコンピューティング環境やブラウザ環境のシミュレーションができる」とLevine氏は語った。そして、特にInternet Explorer 6と7を同じマシンに同時にインストールできないことを考えると、それらの製品によって新機能のテストを大幅にスピードアップさせることができると述べた。
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