バーチャルマシンは家庭でも役に立つ。1台の物理的なマシンを家族それぞれの「マイPC」として使うことが可能になるからだ。現在は家族それぞれが別のユーザーアカウントを持ち、プログラムやデータを分けて使っているのが普通である。しかしバーチャルマシンならば、たとえば子どもがファイル共有サービスからダウンロードしたウイルスで父親のPCのデータを消去してしまうといったことが防げる。
デスクトップ仮想化業界ではVMwareが支配的なメーカーだが、他にも多数の競合企業がひしめく。
シンクライアントソフトウェアで長年の経験を持つCitrixは、2007年8月に5億ドルでXenSourceを買収し、中央に配したサーバ上で複数のバーチャルPCを動作させるソフトウェアを手にした。
他にも、創業間もない複数の企業が競争に加わる準備を進めている。オープンソースKVM仮想化ソフトウェアのスポンサーであるQumranetは、中央のサーバ上に複数のバーチャルPCをセットアップして稼動させるために必要なすべてのテクノロジを統合した製品を2007年9月末に発表する予定である。XenSourceのCEOだったNick Gault氏が率いるPano Logicは、VMwareサーバテクノロジを使って集中型バーチャルデスクトップを作成する計画を2007年8月に発表した。
Microsoftも、デスクトップ仮想化が次第にさまざまな形で一般ユーザーの間で知られるようになってきたことを理解している。しかし、MicrosoftのゼネラルマネージャーであるMike Neil氏は、仮想化テクノロジはおそらく「多くの主流派ユーザーが利用するようになるまでにはかなり時間がかかる」と指摘する。
Microsoftはデスクトップ仮想化を早い時期に手がけた企業の1つであり、2003年にはConnectixの「Virtual PC」事業を買い取った。それ以来Microsoftはこの製品をおおむね無償で提供したが、かつてはVirtual PCしか選択の余地がなかったWindows-on-Macの世界には参入しようとはしなかった。しかしPCサイドでは、2007年2月以降にこの製品がダウンロードされた回数は250万件となり、このテクノロジの利用者の多くは企業のIT部門である。
Intelをはじめとするその他の企業は、PCの通常のオペレーティングシステムと平行して稼動する運用管理用バーチャルマシンでセキュリティソフトウェアや管理ソフトウェアを動かすことを提案してきた。これにより、たとえばネットワークトラフィックを監視してワームの蔓延からシステムを守ることができる。
もう1つのアイデアとして、バーチャルマシンを使って1台のPC上で仕事用アプリケーションとプライベート用アプリケーションを分離するという使い方が考えられる。これにより企業は、仕事用の環境をiTunesなどのプライベート用アプリケーションから分離できる。
デスクトップ型バーチャルマシンの課題は、ホストオペレーティングシステムとゲストオペレーティングシステムの両方を動作させるためには十分な容量のメモリが必要になるという点である。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する