著作権侵害でTorrentSpyを提訴していた映画業界は、8月後半、BitTorrent用サーチエンジンに関する2件の問題について、裁判所の重要な判断を勝ち取った。これにより映画業界は、ファイル共有との戦いで、新しい強力な武器を手にすることになるかもしれない。
しかし、インターネット上の強力なプライバシー保護法を提唱している電子フロンティア財団(EFF)は裁判所の見解を批判し、こういった見解がインターネット・ユーザーに対し深刻な脅威をもたらすと主張する。
8月末米連邦地方裁判所のFlorence-Marie Cooper判事は、2006年にTorrentSpyがMPAAに対して起こしていた訴訟を退けた。これは、全米映画協会(MPAA)がTorrentSpy幹部の個人メールのコピーを違法に買い入れたと、TorrentSpyが訴えていたものだ。TorrentSpyの創立者の1人Justin Bunnell氏のビジネスパートナーだったRobert Anderson氏は、TorrentSpyの電子メールシステムに「ハッキング」して侵入し、送受信されるすべての電子メールのコピーが同氏に転送されるよう細工したことを認めている。Anderson氏はその後、この情報をMPAAに1万5000ドルで売り渡した。
しかし、Cooper判事によると、電子メールを無断でコピーすることは、連邦通信傍受法違反には当らないという。これに対して、EFFの専任弁護士Kevin Bankston氏は、Cooper判事が通信傍受法の解釈を誤っていると指摘する。
「これはすなわち、他人が同意なく別の当事者の電子メールを継続的に監視することができ、それが違法にならないということだ。これは、民事訴訟においてプライバシーの侵害を許す扉を開くだけでなく、政府による不正使用にもつながる可能性がある。非常に危険な判断だ」
MPAAの関係者にコメントを求めたが、返答はなかった。
また、最近TorrentSpyが法廷で喫したもう1つの敗北は、ユーザー情報のログを作成するようにという裁判所命令に対して提出されていたTorrentSpyからの上訴を、Cooper判事が棄却したことだ。TorrentSpyは6月、同社コンピュータ内の一時記憶装置にあるIPアドレスのログの作成を開始するようにという、前例のない判決を下位裁判所の判事から受けていた。
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