TorrentSpyが米国での業務中止を発表したその翌日の米国時間8月28日、連邦裁判所判事はユーザー情報を引き渡すよう同社に命令する判決を下した。
映画の違法コピーをほう助したとして、2006年に映画業界から訴えられたTorrentSpyは6月、同社のコンピュータ内のRAMにあるユーザー情報を映画スタジオに提供するよう、命令を受けた。ファイル共有利用者によって、違法複製映画を検索するのに頻繁に利用される同サイトは、訪問者の匿名性を保護することを以前から約束してきた。
TorrentSpyは控訴し、コンピュータのRAMにあるデータはごく一時的なもので「保存情報」とは見なされず、企業が民事訴訟でこのような資料を取り出すのは非現実的だと主張した。裁判資料によると、担当判事は28日にTorrentSpyの控訴を棄却したという。
米国地方裁判所のFlorence-Marie Cooper判事は18ページにわたる判決文のなかで、「RAMの中に保管されたデータは一時的であっても電子的に保存された情報である、というのが裁判所の見解である」と述べた。
TorrentSpyの弁護士Ira Rothken氏は、裁判所の命令について、米国内で業務を行っていなければ、提出に必要な米国の記録もないと述べる。Rothken氏はTorrentSpyでは第9巡回控訴裁に控訴して法廷闘争を継続する計画であることを明らかにした。
6社の最大手映画会社で構成される業界団体の全米映画協会(MPAA)の広報担当からはコメントを得ることはできなかった。
複数の専門家によると、同裁判所の判断は、既に米国での業務を中止しているTorrentSpyにほとんど影響しないが、ほかの多数の企業にとっては大きな影響があるという。
シンクタンクSedona Conferenceに所属する法学者のKen Withers氏は、6月にTorrentSpyがユーザー情報の提出命令を受けた直後、裁判所は「大量に証拠を開示させるための武器」を作り出そうとしており、証拠開示の対象を過度に広げようとしているとの懸念を表明した。
しかし、Cooper判事は判決文のなかで、証拠開示に関する規定では、民事訴訟の当事者が「情報を取得可能なあらゆるメディア」 に対してデータの提供を要求できると述べている。同氏は、情報を一時的に保管するメディアも規定の対象外ではないことにも言及した。
同判事は判決文のなかに、「RAMはストレージ装置として定義されている。(映画会社各社が求める)サーバのログデータが被告のコンピュータにあるRAMからコピーして作成できることに、議論の余地はない」と書いている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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