著作権侵害を手助けしたとして全米映画協会(MPAA)から訴えられていたTorrentspy.comを運営する企業が、米国時間5月24日、MPAAがハッカーに報酬を支払って会社から情報を盗み出させたとして、逆に訴訟を起こした。
Torrentspy.comの運営企業であるValence Mediaが、米カリフォルニア州中部地区の連邦地方裁判所に提出した訴状(PDFファイル)によると、MPAAの幹部がある人物にTorrentspy.comの非公開の情報を持ち出すように依頼したという。この人物が誰であるかは明示されていないが、原告団の1人の元同僚だとのことだ。
Torrentspy側の主張によると、電子メールの通信文や企業秘密を盗み出すことでMPAAから1万5000ドルの報酬を得たというこの人物は、自らが果たした役割を認め、現在は原告側に協力している。
「ハリウッドのドラマのようなことが、本当に起きたのだ」と、Torrentspyの弁護士を務めるIra Rothken氏は24日夕方の電話インタビューで語った。
今回の申し立ての3カ月前になる2月、Torrentspyをはじめとする共有ファイル検索エンジンサイトは、著作権侵害者がインターネットで映画を配信するのを容易にしているとして、MPAAから提訴された。
MPAAのバイスプレジデント(コーポレートコミュニケーションズ担当)であるKori Bernards氏は、CNET News.comへの電子メールの中で「(Torrentspyによる)主張は間違っている」と語った。「Torrentspyは事実を混乱させることで、自分たちが窃盗を助長しているという事実を隠そうとしている。われわれが起こした訴訟は成功すると、MPAAは確信している。法律がMPAAに味方するからだ」(Bernards氏)
MPAAが提起した訴訟は、ウェブから違法なファイル共有の排除を目指す映画業界の戦略が拡大していることを示す一例だと見られている。MPAAはこれまで、ファイル共有ネットワークを積極的に法廷に引き出してきたが、Torrentspyをはじめ、isoHunt、BTHub.com、TorrentBox.comといった検索エンジンサイトを訴えることで、著作権で保護された作品の在りかを教えるだけの企業も、これらネットワーク運営企業と違いはないとみる立場を明確にした。
24日にTorrentspy側から出された訴状では、2005年7月にMPAAの幹部から接触を受けTorrentspyの秘密情報を入手するように依頼されたという人物について、身元は明らかにされていない。
「入手方法はいとわない」というMPAAの幹部の発言が訴状には引用されている。
CNET News.comが入手した訴状の内容によると、この人物が盗み取ったとされる情報には、2005年1月から6月にかけてのTorrentspyの収支表や、Torrentspyの従業員間の個人的な電子メールのコピー、同社のサーバに関する詳細な情報、課金情報などが含まれる。
Torrentspyの主張によると、同社が「情報提供者」と表記するこの人物は、本人とMPAAとの関係がどんな種類のものであるかを証明する証拠資料を提供しているという。その中には、情報提供者とMPAA幹部が署名している同意書も含まれていると、Torrentspy側弁護士のRothken氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」