BitTorrent用サーチエンジンを運営するTorrentSpyが2006年に起こしていた訴訟が先週却下された。同社は、映画産業の業界団体がTorrentSpy従業員の個人メールなどを傍受したと主張していた。
しかし、米連邦地裁判事は全米映画協会(MPAA)が通信傍受法に違反したというTorrentSpy弁護士らの主張を退けたものの、法廷記録によるとMPAAは、TorrentSpy幹部の個人メールを入手するために1万5000ドルを支払ったことを認めた。
映画ファンに倫理的な行動と海賊版映画ダウロードの誘惑への抵抗を呼びかけ違法なファイル共有を食い止めようとしているMPAAが、この支払いを認めたことの影響は大きい。評論家らは、この新事実を、ファイル共有との戦いにおいてMPAA自身が非倫理的な行動を自粛できなかったことを、示し得るものだと受け取っている。
カーネギーメロン大学准教授でインターネットプライバシーの専門家であるLorrie Cranor氏は「倫理的に考えて、他人の電子メールを読むことが悪いことなのは、まったく明らかだ。第三者から他人の電子メールを提供する申し出があった際に、危険信号であると考えねばならなかった」と述べた。
違法なファイル共有が映画産業に年間20億ドル以上の損害を与えていると主張するMPAAは、インタビューの要求に応じなかった。
MPAAは法廷記録の中で、電子メールを入手した人物は情報の販売を持ちかけるためMPAAに接触する以前に情報を取得しており、通信内容を合法的な手段で入手したとする念書に署名していると述べている。
TorrentSpyの弁護士であるIra Rothken氏は、「MPAAは、30ページ分の電子メールに1万5000ドルを支払った時点で、不適切な方法で情報を入手しようとしていることに気付いていたか、もしくは気付くべきだったと考えている」と述べた。
Rothken氏によると、TorrentSpyは、同社から電子メールを盗み出した行為が通信傍受法に違反しないとする裁判所の決定に対し、上訴する予定であるという。
法廷文書によると、まずRobert Anderson氏からの接触があって、その後MPAAが電子メールを入手した。Anderson氏は、TorrentSpyの設立者であるJustin Bunnell氏のビジネスパートナーだったことがある。
法廷記録では、Anderson氏は、TorrentSpyの電子メールシステムを「ハッキング」して侵入し、「送受信されるすべての電子メールがコピーされ、同氏が所有するGoogleの電子メールの匿名アカウントに転送される」よう細工したのだろうと見られている。
Anderson氏は2005年6月、MPAAのシニアリーガルカウンセルであるDean Garfield氏に接触した。Anderson氏はGarfield氏に、電子メールを提供してくれる情報提供者がいると話を持ちかけた。
地方裁判所判事であるFlorence-Marie Cooper氏は、Anderson氏の入手した情報が企業機密に相当することをTorrentSpyが示していないとするMPAAの主張を認めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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