2007年5月に下されたが米国時間6月8日まで公表されていなかった裁判所の判決により、ウェブサイトは訴訟の被告側となった場合、訪問者の追跡を強制されることになるかもしれない。
ロサンゼルスにあるカリフォルニア州中部連邦地方裁判所は5月29日、人気の高いBitTorrentの検索エンジンであるTorrentspyにサイト上のユーザーの活動を詳細に示すログを作成するように命じた。ただし、同裁判所Jacqueline Chooljian判事は6月8日、Torrentspyに控訴する余地を与えるため、この命令の保留を認めた。
Torrentspyの弁護士Ira Rothken氏によると、控訴期限は6月12日であるという。
Torrentspyは、そのプライバシーポリシーにおいて、決して同意なく訪問者を追跡することはしないことを約束している。
Rothken氏は、「Torrentspyはユーザーを追跡するぐらいならば米国へのアクセスを停止するだろう」と述べた。「今回の命令が成立すれば、ウェブサイトはそのプライバシーポリシーに関わらず、ユーザーの活動を追跡するように裁判所に要請される可能性があるということになる」(Rothken氏)
Columbia Picturesなどの大手ハリウッド映画制作会社を代表する全米映画協会(MPAA)は2006年2月、Torrentspyなどをファイル共有企業撲滅活動の一環として提訴した。MPAAによると、同検索エンジンが海賊版ファイルを容易にダウンロードできるようにしたことに対し、提訴したという。
MPAA関係者らのコメントは得られなかった。
電子フロンティア財団(EFF)の弁護士であるFred von Lohmann氏は、今回の判決はEコマースおよびデジタルエンターテインメントサイトに困った影響を与える可能性があると述べた。同氏はこの判決を「前代未聞」であるとしている。
一般大衆に対するデジタル著作権の啓蒙活動を推進するEFFは、今回の判決についてまだ調査中だが、von Lohmann氏は、今までのところ「問題のある裁判所命令」であると感じているという。
裁判所が被告側に対し、訪問者の活動のログを作成し、原告側に情報を引き渡すように命じたのは今回が初めてだと思われる。
「一般的に、被告側が新たに記録を作成して引き渡すように求められることはない」とvon Lohmann氏は述べた。「ウェブサイトのログに関するポリシーが、訴訟によって設定されることがあってはならない」(von Lohmann氏)
多くのウェブ企業が訪問者のログを残しており、その中には、インターネットプロトコルアドレスなどの情報が含まれている可能性がある。EFFを含めて、このようなデータを記録しないことにしている企業もあるとvon Lohmann氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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