世界第2位の携帯電話機メーカーであるMotorolaと、同社の最高経営責任者(CEO)であるEd Zander氏にとって、状況はより悪くなったようだ。
Motorolaは米国時間7月11日、携帯電話機市場における売り上げが芳しくないとして、業績見通しを下方修正した。同社は、第2四半期の予想売上を当初の94億ドルから86〜87億ドルへと引き下げると発表した。また同社は、1株当たりの損失額が2〜4セントとなるだろうということも明らかにした。一部のアナリストらは、1株当たり2セントの利益を予想していた。Motorolaの決算発表は7月19日に行われる予定だ。
この発表を聞いた株主らからは不満の声が高まっており、Zander氏の辞任に向けた圧力はさらに高まりそうだ。Zander氏は2007年に入ってから、「物言う」投資家であり、Motorolaの取締役就任を狙って委任状争奪戦を仕掛けた億万長者のCarl Icahn氏からの痛烈な非難を乗り切った。Icahn氏は取締役に就任することはできなかったものの、Zander氏への批判がおさまったわけではない。
Reutersは11日、もう1人の物言う株主であるEric Jackson氏がZander氏の辞任を要求したと報じた。Jackson氏は、Yahooに対する株主の不満の声を高める発端を作った人物でもある。6月に開催されたYahooの年次株主総会において、Jackson氏はCEOであるTerry Semel氏に対して、株主に謝罪するよう要求した。Semel氏はその1週間後に退任した。
Jackson氏によれば、Zander氏が2004年に現職に就任して以来の「株主のリターンは13.5%である」という。これに対して、Motorolaの競合であるNokiaのリターンは37.8%である。
実際、Motorolaの最大の競合であるNokiaの売り上げは順調である。NokiaもMotorolaと同様に低価格化への圧力と闘っているものの、利益を上げている。一方、Motorolaは赤字である。
では、何が問題なのか?まず、Motorolaは過去に、売り上げを伸ばすためにRazrのようなヒット商品に頼りすぎた。同社はいまだに大量のRazrを出荷しているが、サービスプランによっては無償で入手できるところまで価格が低下している。しかし、もっと重要なことは、MotorolaがRazrの次のヒット商品を作り出せていないことだ。そしてさらに悪いことに、同社は3G市場で出遅れた。NokiaやSamsungは1年以上も前から3G対応の携帯電話機を発売しているが、Motorolaは2007年夏にようやく3G対応製品を発売する予定だ。
その結果、Motorolaの売り上げは、Nokiaが優位に立つアジア市場とヨーロッパ市場において低迷している。業績見通しが下方修正されたことによって、より多くの怒れる投資家らがZander氏の辞任を要求することは間違いないだろう。Zander氏を擁護することはますます困難になってきている。ZDNet.comのブログに筆者の同僚であるLarry Dignanが書いたように、Zander氏の辞任は秒読み段階に入っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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