Motorolaは米国時間4月23日、デジタルテレビ用のソフトウェアとハードウェアを扱うTerayon Communication Systemsを現金1億4000万ドルで買収することを明らかにした。
Motorolaは、1株あたり1.80ドルでTerayonの発行済み普通株式すべてを取得する。
Terayonのハードウェアは、ケーブル事業者、衛星通信事業者、電話会社などがテレビサービスに採用しており、ビデオネットワークの運営に用いている。Terayonの製品を利用すると、帯域幅利用の最適化や、地域や地方ごとに視聴者の嗜好に合わせたビデオ配信が可能になる。たとえば、Terayonの取り扱い製品のなかには、サービスプロバイダがより地域特性に合った広告をビデオコンテンツに掲載するために利用するものもある。これは、顧客構成に応じた広告を配信できるようにすることで、サービスプロバイダに新たな資金源をもたらし得る製品である。
Motorolaはすでにビデオ用インフラを提供しており、ケーブル事業者へのセットトップボックス販売では業界第1位の座につけている。しかし同社は、Terayonのソフトウェア製品とハードウェア製品を獲得し、より魅力的なエンドツーエンドのビデオ処理ソリューションを提供したいと考えている。
Motorola Connected Home SolutionsのプレジデントDan Moloney氏は声明で「Terayonの買収により、ターゲット広告や広告挿入ソリューションなどの次世代サービスの分野において、Motorolaのエンドツーエンド製品の供給力が高まるだろう」と述べた。
Motorolaによると、買収は2007年第3四半期までに完了する。買収後TerayonはMotorolaの完全子会社になる。Terayon部門はカリフォルニア州サンタクララでの業務を継続する予定だという。
Terayon買収は、Motorolaの経営多角化戦略の一環として行われる。Motorolaの主な収入源は、現在もモバイルハンドセット部門である。しかし、安価な電話機を大量に供給して市場シェアを得ようと、利益率を犠牲にしたため、ここ数四半期は収益面で苦戦している。その影響で、同社は何期もの間、人気の電話機Razrの価格を下げ続け、同端末は今やマスマーケット向けデバイスとなっている。
Motorolaは先週、第1四半期決算を発表し、前年同期の純利益6億8600万ドルから赤字に転落して、1億8100万ドルの純損失を計上したことを明らかにした。売り上げは1.8%減の94億3000万ドルだった。同社では、第2四半期に売り上げが第1四半期と同程度になるとの見通しを示している。
アナリストらの疑いの目をよそに、Motorolaの幹部らは2007年通年で黒字になるとの考えを明らかにしているが、業績不振を受け、投資家のCarl Icahn氏はMotorola取締役会の役員就任を求めている。同氏はMotorolaに対し、現金を企業買収につかわず、自社株を買い戻すよう主張しているが、Motorola幹部らはIcahn氏に投票しないよう、株主に呼びかけてきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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