米国証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、Motorolaの取締役就任を狙うCarl Icahn氏の活動は、Icahn氏と同社が互いに争う内容の書簡を投資家らに送付したことから、さらに加熱しているという。
投資家らに宛てたIcahn氏の書簡は、米国時間5月1日に新聞広告として掲載された。同氏はそこで、過去6カ月の間に市場価値にして約200億ドル損失しているとしてMotorolaを批判した。Icahn氏によると、同社は管理やリーダーシップにおいて重大な過ちを犯したと述べた。
Icahn氏は、Motorolaを支配下に置くつもりはないと述べた。同氏は、同社への影響力を持ち、株主としての権利を維持するために取締役就任を希望するという。
同氏は、「問題を抱えた現在のMotorolaには、取締役会の中に重要な株主を代表する役員が、1人であっても絶対に必要だと確信している」と述べた。「私の株所有数は、取締役会全体よりも何倍も多い。これは私のMotorolaに対する忠誠心を示すと同時に、私が同社とその株主にとって何が最善であるかということのみを追求していることを証明するものである」(Icahn氏)
この書簡への返答として、Motorolaは同社から株主への書簡をSECに提出した。書簡には、同社はIcahn氏が取締役会役員として「必要な時間とエネルギーを注いでくれる」とは思えないと記されていた。Motorolaによると、Icahn氏はすでに8社の取締役に就任しており、そのうち少なくとも4社で会長を務めているという。また同社は、Icahn氏のファンド投資家としての役割から、同氏の顧客とMotorolaとの間に、利害に関する意見の相違が生じる恐れがあると述べた。
Icahn氏は、関連団体と合わせて12億ドルに相当する6800万株のMotorola株を所有しているという。Icahn氏は、Motorolaの株の1.39%を取得した後の2007年1月、最初に取締役就任を同社に要求した。
Icahn氏の最初の取締役就任要求は、Motorolaがハンドセット機器の価格が引き続き低下したために不調に終わった第4四半期の決算を発表したわずか数週間後であった。Icahn氏は当初、Motorolaに対し、112億ドルの現金で株を買い戻すことを要求していた。一方Motorolaの幹部チームは、現金は同社の製品ポートフォリオを拡大するための投資に使用したいとしていた。
Motorolaはこれまで、Icahn氏に票を投じないよう迫ってきた。Motorolaはまた、Icahn氏の要求に対するせめてもの部分的な譲歩として、株の買い戻しプログラムを増進してきた。しかし、Icahn氏は同社のリーダーシップに満足せず、同社の経営に関する問題を解決することに現在は焦点を当ててきている。Motorolaは2007年第1四半期に損失を発表し、幹部らは第2四半期も「厳しい」状態になると述べている。
少なくとも投資顧問会社であるInstitutional Shareholders ServicesとProxy Governanceの2社は、Motorolaの株主にIcahn氏に票を投じるようアドバイスしている。一方で、同じく投資顧問会社のGlass Lewisは、Icahn氏が同社に対する具体的な計画を詳しく述べていないとして、Icahn氏を支持していない。
Motorolaは5月7日に開催される年次株主総会で新しい取締役会に関する投票を実施する予定である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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